文化財復元と朗読
今年はご縁あって京都の文化財復元センターのDVDナレーションをさせていただいた。
復元、という世界に触れ、その地道で根気のいる職人仕事と、ポリシーを見聞きするうち、
自身の朗読感にも変化が出てきた。
文化財の復元は、残った痕跡から、あらゆる撮影手法を駆使し、また文献の研究から往年の姿を再現すること。
レプリカ(再製作品)ではなく、その文化財そのものの魂を眠りから呼び起こす作業だという。
朗読には様々な世界がある。
自己の解釈の基づく演出で、自己表現としての朗読、
物語を情報ととらえ、冷静に、内容を音声化していく読み方、
身体表現や音楽を加味した演劇的手法、
脚本化した朗読劇。
それぞれの分野でそれぞれの流派があり、世界観がある。
朗読とは、書かれた寝ている「文字」を「起こす」、立体化する作業、と昔、講師に教わった。
朗読は、ある意味「復元」ではないか、そんなふうに思うようになった。
作者の想いを、書き込まれた魂を、今に甦らせる読み。
「寄り添い」
前に出るのは、読み手の感性ではなく、あくまでも「書き手」の感性の復元。
読書が、書き手との対話であるならば
朗読は、通訳。
音訳ではなく、書き手の魂の通訳。
イタコ?
ん~~。。
まだ、混沌として、これ、という表現は出てこないのだが。
そういう伝え方ができる「復元朗読」が
わたしには一番しっくりと、やりたい世界な気がしている。
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