注し声と引き声

のんたん

2013年07月02日 10:04

朗読やアナウンスをするときに、場によって発声を変える。

前へ、前へと注ぐように声を届ける、「さし声」。

引きながら声を出す、「ひき声」。

さし声は、たとえば、舞台朗読。

伝えるその声、その内容そのものが主であるとき。

アナウンスであれば、屋外イベントや演説仕切りなど、テンションを上げて、聴衆を引っ張っていく必要があるとき。


引き声は、「従」。

黒子として声を使うとき。

同じアナウンスでも、注意は主である演者に注がれるよう、その方がまとう雰囲気の一部のように聞こえる声を影で届ける。

やや芯を抜いて発声し、

色で言えば、ひき声は、パステル、さし声は、原色という感じだろうか。これが、「音質」の操作。


どちらの声であっても、そこにTPOで声の要素」のバリエーションをつける。

高い、低い、速い、遅い、間の時間。

ひき声は、耳触りがいい分、流れがちなのでプロミネンスをしっかりすることで、伝わるアナウンスにできる。

長時間の朗読図書、ソファーにかけて、あるいはベッドでゆったりと数時間、本を聞く、なんてときには有効な音質。


さし声は、身を乗り出して、さあ、聴くぞ、という非日常の場面での朗読会や、ハイテンションイベントに有効。

使い間違えると、どちらの聴き手にも、不満足感がでる。

聴き手になることを多く経験することでつかめていく。

朗読、声仕事を志す人は、まず、たくさん、「聴いて」ほしい。


声のお仕事は、奥が深く、怖い、そして、楽しい。











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