おばあちゃんの入院。
塞翁が馬、止まらない咳を心配するより入院という一番安心な形を取ってもらえた年末。
ベッドが嫌で、ナースステーションの中テーブルに車いすでゆったりと座らせてもらって昼間を過ごす。
入れ代わり立ち代わり動き回る看護師さんが、おのおの目を配って返事をしてくれている。
咳も点滴でかなり楽になっている。
施設へ行って退院後の相談。ベッドと車いすを介護度の高いものに替えることにする。
本人に適応する仕様を選ぶので何度か業者さんに入ってもらう。
それまで、自宅の車いすを持ち込みさせてもらえることに。
物入りが続くことになるが、見越した顔で、「心配するな。」と言ってくれる上息子。
昨夜は消防団の年末特別警戒で、詰所に泊まり、朝帰りでひと眠りし、床屋に行った。
夕方には、下息子も帰宅。おっつけ上息子も帰宅。
ぐらついていた浴室の照明を点検してくれた下息子、
その結果、外れてしまっているねじを買いにまた出かけててくれた上息子、
その間に風呂掃除を丁寧にしてくれた下息子。
ダイニングの簡易テーブルを片付け、大テーブルを和室から移動するのを男手に手伝ってもらえ、
お願いしていたおせちを取りに行き、
そんなこんなの連携で、暗くなる頃には、なんとなく、おおみそかの食卓っぽく片付いた。
初めて、レストランのおせちを買った。
まるで暮れのこの喧騒を予見したような出来事。
予約しなかったら、おせちもなにも、お正月にはならなかっただろう。
美味しいお茶を淹れる。お仏壇にあげ、おしょうばんにみんなで「はぁ~~美味しいねぇ、お茶。」とため息をつく。
出来立てのおせちを、せっかく出来立てなんだからお年取りに食べようよ、と全員一致。
「これ、原価割れしてないかねぇ、心配になるねぇ。」と息子たちもうなずく、美味しさとお料理素材のクオリティ。
そうねぇ、これがトムズレストランクオリティなんだろねぇ。といいつつ。
人間、おいしいものを大事な人と食べる時間が持てれば、なにがあろうと至福がくるんだなぁと、実感。
食事がすむと、おなじ部屋の中、上息子は、窓際の電動ベッドに、下息子はリラックスチェアに、
わたしはソファーに体を横たえテレビをぼーっと見ている。
ストーブの設定温度はいつもと同じなのに、いつもの寒々しさはなく、足まであったかいのはなぜなんだろう。
ベッドは、夫が最後の入院まで寝ていたベッド。リラックスチェアは、義父が愛用してくれていたものを、夫がまた愛用し、
今もガタはきつつも現役でここにある。ソファーは、こどもの授乳に布団すわりでは腰がきついだろうと、
夫が買ってきてくれたこちらも年代物。
おだやかに、静かに、たぶんこどもらも、夫といる気がしている、きっと。
今年も暮れました。
涙腺が緩みます。ありがたく、いまここに、子らとあれること、もうそれだけでいい気さえします。
つらつらと暮れの一日を書いてしまいましたが。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
どうぞ、よいお年をお迎えくださいませ。
息子が洗ってくれたお風呂に入って、こっそり幸せめそめそをしながら、除夜の鐘をきこうと思っています。