初めての夢
夫が亡くなってから、一度も彼の夢を見ることがなかった。
夢でいいから出て来てよ、と何度も仏壇に泣いた。
でも、一度も夢に出てこなかった。
昨晩、初めて夫が夢の中に居た。
台所に居る私の隣に、ぴとっと来て。
つまみぐいをし。
「うまっ。」と指をなめた。
「そう?」と普通に答えた。
じんわり、嬉しかった。
肩越しに触れていた彼に、体温触覚の存在感があった。
一瞬寝ながら意識が戻り
「ああ、夢見れた、やっと。」と幸せになり、またすーっと眠りに落ちた。
昨晩は、暑さに負け遅い夕食になり、9時近くに、新生姜の炊き込みご飯を炊いた。
のの様用の器ではなく、普通のお茶碗に炊きたてをこんもり盛ってお仏壇にあげた。
香りの湯気が、お線香の煙に混ざって、のぼったのだろうか。
生前は新生姜が出ると、おべんとに、佃煮にしていれてほしいなぁ、とねだったものだった。
初めてのレシピや新もの、初物、好物、お仏壇に、あげるたびに
食べさせてあげたかったと嘆き
何を上げても減らないし、届いてるかわかんないし、とめそめそしていたから。
そんなこんなで、
『しょうがないなぁ、(生姜にかけたシャレか?w)、届いてるってば。」と
言いに来てくれたのか。
寡黙な、彼らしい訪問。
ありがとう。
いっぱい、おいしいもの、作って、食べて、幸せに生きよう。
息子のお弁当にも、どっさりと入れ、イワシのかば焼きとピーマンの卵とじという、夫の好きなメニューで送り出した。
動物系はお仏壇にあげられないから、息子と一緒に食べてもらうつもりで。
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