忙しいならやりましょうの精神

のんたん

2014年06月29日 23:01

声ボラ活動。

これまで、役員は録音当番を減らすか免除、が暗黙の了解だった。

役員の仕事は煩雑で、声ボラ以外の仕事が多いので、それがせめてもの「お助け」とされていた。

体制を変えて、役員数を増やしたことで主力メンバー、みな役員という形になり、

役職関係なく、録音に携わる体制になった。

代表の私もしかり。養成講座時期の今も、これから繁忙期の秋にかけても当たり前に録音に入っている。

当初、新体制を作ったものの、役員は疲弊から不満があがるかと内心危惧があった。

だが、たしかに忙しさは増えるが、大きな気づきがあった。

メンバーが役員をやりたがらない背景には、「朗読録音」からはずれてそれ以外の仕事ばかりになることへの危機感がある。

みな、現場の「職人」でいたいのに、管理職やれっていわれるみたいな。

面白い。肩書が欲しい人がいないのだ、この世界。

わたしとて、行きがかり上、複数回代表を務めているが、当番がんがんな職人の立場が、一番好きなのだ。

役員の人たちも、生き生きと当番をこなし、役職仕事にも余念がない。

これは、現役録音者でいられるからこそ、なのだ。

現場からの視点が、役員としての問題意識を常に張り巡らせる効果を持っている。

今年副代表になってくれたTさんは、「お忙しいところすみませんが」と重鎮の方々にも、がんがん仕事を振る。

もう、ご意見番のお役目だけねと割り切り始めていた諸先輩方も「え~~、今更?」「何年もこの分野は読んでないのよ?」

と、後ずさりな言葉を発しつつも、ふたを置けてみれば、がっつり、下準備をして本番に臨んでくださっている。

しかも、長年のご経験があるので、勘を取り戻すのも早く、大きな即戦力。

わたしが「遠慮」という壁の前でへこたれていた部分を、すらっと乗り越えて采配を振ってくれる。

すごい、学びを彼女からもらっている。

仲間のなかには、他の道で「師匠」の立場に居る人も多い。

だが、グループの中にそのことを持ち込む人がいないので

みんなフラットに「仲間」という立場だけで動いている。

これも暗黙に、外でやってることに干渉し合わない、という不文律のようなものがあった。

そこも、Tさんは、ふっ飛ばす。

仲間の中に全国レベルの太極拳師範がいて。

聞きつけるやTさんは、その師範の教室の生徒になった。

そして、「池内さん、忙しいんだからやりましょうよ~。」と誘ってくれた。

忙しいでしょうから誘わない、じゃなくて、忙しそうだから誘う。

この感覚が面白くてすてき。

そうか、忙しいから、「やる」のか。

その時間を「作る」ことで、緩みを自分にもたらす。

自分で作った固定概念に縛られ、いろんな制約を自分に課していたことに気がつく。

Tさんは、本業も持つ、まさに「忙しい」人生の中にあって、それを楽しむ術を心得ている。

そして、件の師範さんも、しかり。

その道では、大家であり、全県内はもちろん東京にも指導に飛んでいっている忙しい身ながら、

朗読の世界では「学び人」として腰低く、貪欲に食いついて来てくれる。


私の周りは、こんな人材の宝庫にあふれている。

もらうものの、なんと多いことだろう。

世間は、生の「教室」だ。





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