玄蕃の丞
絵語りをするときは、ブラックボードに白のボードマーカーで陰影をつけてモノトーンで描いていた。
一期一会、次の作品を描くために、その都度消していたので、残っているものはない。
サーカスのライオン、クリスマスキャロル、ドア壁に浮かび上がったマーレーの顔、
障子に写った包丁研ぎのやまんばの影。etc
あの頃、どんな絵を描いたっけ、と回想するが、ぼやけた記憶に霞がかかる。
今回のおはなし会では、大判のスケッチブックにパステルで描いてみた。
描いたものを残すこと考えたのか、自分の選択理由はよくわからないが。
未来は、永遠ではないと、実感の年代になった、ということか。
以前描いた玄蕃の丞は、もっとぎらぎらとした大狐だった。
今回、わたしと一緒に年を重ねた私の手は、穏やかな「爺狐」を描いた。
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