いってまいります

のんたん

2014年08月07日 09:36

祖父の遺品の中に、多くの若者の軍服写真があった。

写真館でとったもの。

祖父は中学の教員であった。

元教え子たちが、出征前、軍服で写真を撮り、手紙を添えて祖父に送られたものと思われる。

いくつかそれらしい便せんも残っていた。

学生時代の想い出や、祖父への感謝や、家族のことなどが綴られてあり。

御国のため、という当時の思想も色濃くあり。

そして一様に、文末には「行ってまいります。」とある。

彼らは、帰ってきただろうか。

写真を恩師である祖父に送ってきた心情は、なんであったろう。

生きて帰る、と書けない時勢柄。

行ってまいります、は、お別れの辞であったろうか。

わたしが、ここにあったことを、覚えていてください、の内心か。

祖父と、写真を眺めながら、彼らの消息を聴いてみたかった。

修身教育を担っていた祖父は、どんな返信をしたためていたのだろう。

内心の葛藤は、いかばかりであったろう。

目を閉じるまで、寡黙を貫く人であった。


昨日の広島平和記念式典。

この後長崎、

そして15日の終戦記念日に続く。


花森安治 「無名戦士の墓」より朗読で引用



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