しあわせなお勝手
お盆にちょこっと帰ってきた下息子は
台所の切れた蛍光灯を替えてくれて。
「蛍光灯買うついでに、なにか欲しいもの買っていいよ。」と多めに渡したお金から、
流し台に置く食器の水切りかごを買ってきた。
わずかに傾斜している仕様で、下にたまった水が勝手に流しの中に流れ落ちる仕組みの。
うちは、いままでずっと、洗った食器を桶に返して置き、洗い終わればそこから布巾で拭きながら棚にしまう、というやり方だった。
で、拭き終わると桶の底に残った水を捨て、ひっくり返して伏せて、終了、の工程。
桶は、かれこれ、20年選手のボロになっており。
「かあさん、これだと、洗ってしばらくすれば食器の水がきちんと切れて、布巾で拭かなくても棚にしまえるよ。」
そういって、件の水切りかごを置いてくれたのだった。
まぁ、きがきくね、ありがとう、と早速使うと
その様子を遠巻きに眺めているので
「ん~~、いい感じ・」ともう一度声にすると
んふっと笑顔になって自分の時間に戻った。
彼はすぐまたアパートに帰ったが、
洗いものをするたび、あのこが買ってくれたんだよなぁと嬉しくなる。
すきなものを、といえば、なにか自分のものを探してくると思ったのに。
ありがとう、ありがとう。
お父さんみたいな 大人になった。
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