看とりの気持ち
若き友人のお父上が亡くなった。
簡素な直葬で見送った。
3年間、寝たきりでほとんど意識もなくベッドの上で過ごされていた。
彼は、「終わった」と淡々とつぶやいた。
喪中休暇を有効に使わせてもらうさとうそぶいた。
奥にある複雑な心を思う。
中学3年で母親が他界した後、飲んだくれる父親を見かねて高校を辞めその借金を返しながら働き支えてきた人。
お酒で体がぼろぼろになっての入院。
最後は、入院費を振り込むのみ、見舞いにも病院の呼び出し以外顔を出しに行かなかった。
父親らしいことなど、された覚えなし、まぁ俺も子どもらしいことはしなかったし。
ううん。
ずっと、あなたはお父さんを守ってきたじゃない。
あはは。きれいごとに考えてくれなくていいよ。ずっと・・死ねばいいと思っていた。
殴られた記憶しかねぇし。
ううん。
ううん。
そんなこと、・・・。
それ以上の言葉がつげない。
でも、彼は危篤に2晩立ち会った。看とりの時間をベッドサイドで過ごした。
火葬の煙を見送った。遺骨を抱いた。
じゅうぶん、親子だったと思う。
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