誠意が届く人もいれば

のんたん

2010年09月23日 17:22

昨日と今日はお世話になっている近所の農家にお手伝いに行ってきた。

誠実なお人柄のご夫婦で、普段は口コミでくるお客さんの対応と農協への出荷をしている。

いわゆる観光農園ではなく、一般の農家なのだが

バスで観光の途中で乗り付けて果物を買っていきたい、という依頼にこたえて年に数回だけ大口のお客様を迎えている。

この農家は「取り置き」をしない。

注文にあわせて、朝、その分だけを本職さんが畑に切りに行き、お手伝いの人たちで箱詰めをし

その日のお昼には発送をする。

その日その日に収穫に最適なものを選んで切りだしてくるので、切りだしは選定は本職さんでないとできない。

その新鮮さと信用で、口コミがひろがり、作物のほとんどは地方発送と直接買いでなくなっていく。



バスで大口の人数が来る時は、御親族、アルバイトさん総出で、おもてなしを工夫する。

母屋を開放してお休み処にし、お手製の漬物や煮物をふるまい、試食にいろんな果物を出して

畑の一角をロープで区切って「ぶどう狩り」を楽しんでもらうスペースにし、

その場で注文をとる。

バスで午前中に乗り付けたお客さんはここで一休みしてぶどう狩りを楽しみ、

注文をし終わったら、またバスで観光に向かい、夕方荷づくりした果実を受け取って帰っていく。

果樹も多種類に渡るので

三十人分を超す注文を受けてから、本職さんが切りに行き、

切ってきた順からほかのものが総出で注文にあわせて箱詰めをして荷造りをする。

観光時間の合間のタイムリミットのある作業、バタバタと戦争のような忙しさになる。

夕方荷を確認してもらい会計を済ませてバスを見送る。

見送った後は、みんなで、ふにゃ~~と脱力する。

なんとも、誠実な商売をするものだといつも思う。


でも、その誠意が伝わってくれるお客様と、そうでないお客様が混在するのが、バス観光。

入園料として1000円をいただいているのだが、そのお金は注文とは別におひとりおひとりに「お土産詰め合わせ」を出しているので

ほとんど実入りにはならない。

にもかかわらず、畑では食べるだけという約束なのに、もいでは自分のバッグに果物を入れて行ってしまう人、

たわわに実ったぶどうの粒を、あっちで一粒、こっちのを一粒と手を出して食べてしまう人

(つまり食べかけのブドウが点在になってしまうので後の売り物にならなくなってしまう)

試食用に出した果物を持参のビニールに詰めてしまい、おかわりを要求する人。

畑にできているほかの作物(自家用の野菜)やお花を引っこ抜いていってしまう人。

もちろん気持ちよくルールを守り、おいしかった、いいものが買えて嬉しいわと声をかけてくれる人も大勢いるのだが、

荒らされた後を、ふーっとため息をつくご主人のお気持ちが、なんだかちょっとせつない。

商売だもの、仕方ないっちゃ仕方ないけど、ちょっと、ねぇ。。。と奥さんも苦笑い。

気持ちでもてなす、気持ちで答える、が行きかったときのすがすがしさと

あらまぁ:の残念が、どっちもあるのが 「商売」なんだろう。

願わくば、この農家には良いお客さんにきてもらいたいなぁ、と身びいきに思ったりする。


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