寄り添える声

のんたん

2010年10月29日 19:00

エッセイ本等の録音図書をつくると

聞いてくださった御年輩の方から、

作品の中に登場する人物について、「あの方はその後どうなさってるのかしら」とか「あのあとどうなったの?」と

ご質問をされることがある。

読み手の私と、作品の著者が、聴き手の中で同一になっているのだ。

読み手としては、嬉しい誤解だ。

朗読の基本は「話すように読む」。エッセイはそれに一番近い読み方ができるジャンル。

以前、某コンテストで、全く賞には関係がなかったが選評で「一番会話に聞こえた作品」という言葉をいただいた。

さあ、聞いて。という押し出しのいい朗読は、華やかで舞台や映画の世界に似ている。

わたしは自分の朗読には、そこに、そっとある、たとえば、運転しながら、おしゃべりしながら

アイロンをかけながら、お茶をする時間とかでもいい

何気なく聞けて、でもなにかの瞬間に聞く人のノスタルジーをふわっと引き出したり、

寄り添えたり、「そうだよね・・」とつぶやいてもらえたりする、そんな世界感を持っている。FMラジオみたい?


そうありたいな、という思いの先行で、まだまだ修行中なのだけれど。

いろんな物語の渡し方があっていいと思う。

受け手は選択して、楽しんでくれればいい。


あなたと、いま、語り合っています、あなたと。

これからも、そんな気持ちで、ものがたりを お届けして行きたい。

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