百万回いきたねこ
いろんな飼い主に愛されて、死んで、でもどの飼い主のことも「嫌いでした」と一言で片づける「ねこ」
だから百万回生きられた。
いろんな雌猫が自分の気を引こうとするのに、全然自分に関心を示さなかった白い猫が気になって気になって。
根負けして、ついにはそばにいてもいいかい?と自分からプロポーズ。
初めて、自分より好きなくらい、な存在と生きられた日々。
年をとり、白い猫が動かなくって冷たくなって、初めて泣いたねこ。夜が来て昼が来てまた夜が来て。
ねこも動かなくなって。
もう、ニ度と、いきかえりませんでした。 と終わるお話。
大ベストセラーになりました。世界各国で翻訳出版された絵本。
この作者の佐野洋子さんが亡くなったそうですね。
乳がん。
最初の夫との間にできた男の子を一人で育て、中年になって詩人の谷川俊太郎と大恋愛。
2度目の結婚をしますが、数年後に離婚。
その後は、一人で生きていたとのこと。
「好き」という言葉を何処にも使わないラブレターで、谷川俊太郎氏のハートを射止めたという話。
表現者同士の恋、というものは、不可思議で魅力的ですねぇ。
そのかわり、気持ちがなくなれば、惰性の生活はしない。きっぱり。
自分を、生きぬいた人でした。
かっこよかね。
この作品は、朗読をするときにいくつもの課題があります。
情に流されるような読み方はしたくない。涙腺をあおるような演出はいりません。
ものがたりを、そのまま、お渡しする。 「間」の勝負です。
この本はわたしにとっても大切な世界です。
佐野洋子様、素敵な作品を、ありがとうございました。合掌。
関連記事