百万回いきたねこ 

のんたん

2010年11月06日 20:30

いろんな飼い主に愛されて、死んで、でもどの飼い主のことも「嫌いでした」と一言で片づける「ねこ」

だから百万回生きられた。

いろんな雌猫が自分の気を引こうとするのに、全然自分に関心を示さなかった白い猫が気になって気になって。

根負けして、ついにはそばにいてもいいかい?と自分からプロポーズ。

初めて、自分より好きなくらい、な存在と生きられた日々。

年をとり、白い猫が動かなくって冷たくなって、初めて泣いたねこ。夜が来て昼が来てまた夜が来て。

ねこも動かなくなって。

もう、ニ度と、いきかえりませんでした。  と終わるお話。

大ベストセラーになりました。世界各国で翻訳出版された絵本。


この作者の佐野洋子さんが亡くなったそうですね。

乳がん。

最初の夫との間にできた男の子を一人で育て、中年になって詩人の谷川俊太郎と大恋愛。

2度目の結婚をしますが、数年後に離婚。

その後は、一人で生きていたとのこと。

「好き」という言葉を何処にも使わないラブレターで、谷川俊太郎氏のハートを射止めたという話。

表現者同士の恋、というものは、不可思議で魅力的ですねぇ。

そのかわり、気持ちがなくなれば、惰性の生活はしない。きっぱり。


自分を、生きぬいた人でした。

かっこよかね。



この作品は、朗読をするときにいくつもの課題があります。

情に流されるような読み方はしたくない。涙腺をあおるような演出はいりません。

ものがたりを、そのまま、お渡しする。 「間」の勝負です。

この本はわたしにとっても大切な世界です。

佐野洋子様、素敵な作品を、ありがとうございました。合掌。

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