作品を朗読させていただくにあたり、著者、または出版社に作品の使用許諾をいただくのだが、
今年1月の著作権法の改正により、一般図書館でも許諾なしで朗読図書を制作できるようになった。
朗読者の私たちがいちいち許諾申請書を出して許可をいただかなくてもいいことに。
これはとてもありがたいこと。でもちょっとだけ、さみしくもあったり。
個々の朗読者が、苦労して許諾をくださる先にたどりつき、お手紙を出し、お返事をいただけた瞬間の喜びは
歴代の許諾書ファイルに刻まれている。
朗読した音源を著者にお送りし、その感想などのお返事なども綴られていて、今や大御所となった作家の
若き頃のお葉書等、感慨深い。
先だっての朗読会で、わたしはWEB作家の作品をいくつか読ませていただいた。
紙ベースの著書もあるが、WEB上公開の作品を選ばせていただいたのでご連絡をとった。
以前にも作品を使わせていただいている作家さんたちだ。
そのやりとりには、温度があり、やはり幸せを味わう。
ときに、朗読に合わせて作品を工夫してくださったり、こんなのはどう?と提案をしてくださったりがあり、
「共に」作品を声にしていくことを作り上げていく、まるで絵を立体に仕上げていく過程のようで
朗読をする身の幸福をいただける。
「音訳」に関しては、そういう世界は必要ではなく、声職人として正しく丁寧に「声に変換」する作業だが
朗読は、やはり作品の作者と朗読者のコミュニケーションが大切な世界だと感じている。
作品に朗読者の「色」がのるからだ。
そのコミュニケーションは、直接の対話であっても、また著者の作品への想いをいかに汲みとり表現するかに
腐心することであっってもいい。
いかに作品を愛して、その世界感を著者の心に添っておくるだせるか、が、朗読のだいご味なのかもしれない。