名無しの「内」
夫の親族とのおつきあいに、私の名は存在しない。
お歳暮や年賀状、お手紙なども夫名、あるいは姑様と夫名の連名で来る。
でも、お返しや返信はわたしがするので、いつも夫の名を書き、名の横に小さく「内」と書き添える。
代筆を表す表記だ。
夫の名だけだと、筆跡が違うので向こう様に違和感があるかなと、長年そうしている。
きっと最期までずっと、名無しなんだと思う。
結婚したてのころは、自分の苗字もなくなり、名まで無くなったようで、さみしかった。
今は、そういうものだと平気になった。
自分の名のみでお付き合いできる他の関係が増えたからだろう。
そっちはそれ。こっちはこれ、だ。
「内」のわたし。 わたしであるわたし。
それぞれの付き合い方が、あるのだ。
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