思秋期
女には、もの思うお年頃が、3度来る。
思春期と、周産期と、思秋期と。
どれもホルモンバランスのおおきな変化期にあたる。
はらはらと、よく泣く。
ただいまは、3度め、思秋期にあたっているようだ。
車を運転していると
幼い娘の手を引いたお母さんが、ダッシュで横断して行く。
前にひとつふたつ年上らしきお兄ちゃんがいて。
お母さんを常時振り返りつつ、でも空いたもう片方のママの手にはすがろうとしない。
それ見ただけで、「はらはら」と泣く。
信号待ちに、自転車にまたがった男子中学生たち。
丸坊主におおきなスポーツバッグ。白い歯を見せて笑いあっている。
くったくのない日焼けした顔が並ぶ。
それ見ただけでまた、鼻がつんとする。
あー、かわいい。
あー、いい時代だなぁ、あのころが。などと、すぐ感慨にふける。
スーパーで納豆の棚にひき割り納豆に目がいく。
ふと手を伸ばしかけて、「あ、要らなかった」と思いなおす。
下息子の好物、納豆巻きは、夜食を食べる彼がいなければ、作る必要がない。
「いないんだよなぁ」
そんなんでも、またうるうる。
父が優しいことを言う。
あらま、どうしたのよ。
とまた、うるうるする。
アイロンかけてても、お茶碗洗ってても、
ようはなにしていても、ちょっとしたきっかけでスイッチが入り、
はらはらと泣く。
「はいはい。ホルモン変化。ホルモン変化」
と自分に突っ込んで苦笑する。
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