地区のお年寄りの集い、サロンにアトラクションとしてお呼ばれして30分ほどの朗読を。
「この季節静かに聞き入る時間を、詩の朗読などを。」との世話人の方のリクエストだったので
何篇か季節ものと年齢層に合わせた作品を用意して行った。
たしかに、皆さま、ほんと「し~~~~~んっ」と聞き入ってくださったが、
「朗読を聞く」ということに慣れていらっしゃらないご様子で、
微動だにせず、「し~~~~~ん」と緊張の面持ちで聴いてくださっていたので
ちょっと空気をはずしたく、その後、
お時間をいただいて、詩以外の、嫁姑の笑い昔話を語らせていただいた。
ようやく、笑い声もちらほら出て、素のお顔を見ることができ。
考察としては、初めてお会いする年輩の方々への朗読は、
世界を作る前に、まずアイスブレイクをして、語り手である私を受け入れていただいてから、
という手順が必要だったなぁと反省。
その後、しばらく歓談にまぜていただいて、お世話人の奥様方の手料理をいただき。
写真撮れば良かった。水菜の白和え、山菜のおひたし、凍み豆腐の卵とじなど
やさしいおっかさんの味満載で、幸せなお腹となりました。
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父の病室に出張帰りの兄が立ち寄ってくれて。
「寄る」とメールが来たら、父はその時間が近づくと、まず着替え、ひげをそり、サイドテーブルの上などを整頓し。
来客お迎えモードでスタンバイ。
それまで起き上がるのも、やっと、だったのに、気力に引っ張られて、体は動くのだなぁ。。
逢いたかったんだなぁ。。。
滞在時間はほんの20分ぐらいで、「これで帰らなきゃなんで。またくるよ」と、帰途についた兄だったが、
父は、その後にだされた食事が、ここ1週間のなかで、一番多く食べられた。
ちゃんと座ってタオルを膝にかけ、食器を決まった配置に置き直して、食べ始める。
おいしくて、とかお腹がすいて、というのではなくて。
食事する、という行為が、病と闘う、という戦闘のように、呑み込んではため息をつきながら箸を運ぶ。
もう一口、もう一口、と箸を運ぶ。
その背中をじっと眺めていた。