今年は、「朗読」を聴きたい、学びたい、というニーズが増えている。
出張朗読では、一般に、にぎやかなパフォーマンス(紙芝居や笑い話など)の読み語りのご希望が多いものだが、
今年は、「静かな時間の中で『朗読』を聴きたい」というオファーも出てきた。
また、学校や公民館講座としての依頼もこれまでは「読み聞かせ」が主だったが
今年度は「大人向け」の「朗読」を、というご依頼が。
昨年、初めて「大人の朗読会」をピアニストのnamiさんとさせていただいたが、
ご感想から、「ゆったりと日常を忘れる時間をもてた」「森林浴をしたような時間」
「物語を聴きながら、子どもの頃の忘れていた記憶がよみがえって涙が」
など、日常の喧騒から離れる時間をお渡しできた様子が見えた。
時代が、声に「癒し」を求めているのかもしれない。
ジャズバーで、ゆったりと生演奏に耳を傾ける時間。
アロマを焚いて、ゆるやかな光の中にリラックスする時間。
森の中で、木々の香りに包まれて深呼吸する時間。
同じように「心地よい声」が、音が、さりげなく、あたたかく、浸透していく、
それが朗読の癒し効果ではないかと思ったりする。
わたしがしていきたい朗読は。
舞台朗読のように、演劇的手法を駆使したものではなく
素朴に、話すように、さりげなく、深く。
伝える、のではく、伝えあうもの、であれたら、なんて大層なことを想ったり。
パフォーマンス朗読を目指したい方には、物足りない世界かも。
学びたい方たちに私の朗読論を押し付けることなく、選択肢をお渡しして行ける講座をしていきたいと思う。