夜の病院

のんたん

2011年09月04日 23:12

夫はまだ点滴漬けながら食事に重湯と果汁が出るようになり。

父は少しずつ意識レベルが下がりながらも落ち着いて寝ている。

ただどちらもタオルやパジャマの他、シーツにひいている大判のバスタオルの汚れが早く

さすがに洗濯ものが追いつかず。

町のコインランドリーで乾かした洗濯ものをもっていくともう次の洗濯ものがどさっとあるので

病院内のコインランドリーで洗濯をしてみることに。

病院の乾燥機は馬力が弱く、町のランドリーなら中温で40分でからっといく量が2時間を要する。

洗濯込みで、3時間コースだ。

ランドリーは3機。当然昼間は空きがなく。

夜に使うことにする。

ひと気のない屋上ランドリー。



窓辺の景色も、さすがに高い。



待つ間、夫と父の病室を行き来。

夜勤に交代した看護師さん方も、7時の巡回の後は9時に回ってくださる。

父のところでは、なじみの看護師さんが痰の吸引とおむつ替えにきてくださり、

パジャマの布質のはなしや、口腔衛生の処置についておはなしをしてくれ。

夫のところでは、お薬出しと様子見に来てくれていた。

夫は吐血いらいシャワーも浴びれていないので気持ち悪いらしいので

ドライシャンプーとデイルームのレンジでチンした熱タオルで清拭をした。

あ~、生き返った、とため息を漏らす。

24時間点滴がはずれたら、着替えもできる。もうちょっとの辛抱。

父の部屋には、達筆なひと筆便せんの置き書きがおいてあり。

「のんたんさんへ 

ご様子見に、ちょっとお邪魔しました。  △△(名前)」

父が行きつけにしていた小料理屋のママさん。

お店はこの春に閉めたのだが、ときおり、父を見舞ってくれている。

元気な頃は、ちょこちょこっとした手料理も持ち込んでくれていた。

今回は入院の翌日にも足を運んでくださった。

父がこの人を気にいって店に通っていた理由が、よくわかる。

さりげないわきまえと心得は、父の「俺は頭のいい女性が好きなんだ。」といっていた言葉と合致する。


携帯からお礼の電話をすると「街まで出たので」とわざわざでないと前置きをしてくれる。

メモには、ちょっと、お邪魔しました、とあるが、

この台風雨の中、来てくれて、2時間は超えて、いてくださった様子が会話からうかがえる。

数日前にもお見舞いに来てくださっていたようだ、

「その時はね、住んでいる施設のケアマネさんだかが、ちょうど部屋に来て、5分ほどで帰って行かれましたよ。」と

教えてくれた。そのことがなければ、数日前の来訪のこともおっしゃらなかっただろう。

彼女は店を切り盛りしながら、数年前にご主人の壮絶な闘病生活を看取っている。

足元にも及ばないが、かくありたい、と電話を切った後で便せんをもう一度手に取り、思った。


洗濯ものが渇いたのでそれぞれの病室の引き出しに収めて帰宅。

病院の外に出ると、雨が上がっており、どこかでスピーカーで流している?と思うほどの虫の音。

すっかり、秋の気配が来ていることにようやく気がついた。




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