脳の前頭連合野は、情動や感情をコントロールし、コミュニケーションをつかさどる。
読みきかせは、この前頭連合野を活性化させるのではないかという仮説があった。
だが、実際に読み聞かせを母子で実験をすると
読んでいる母親の前頭連合野は活性化したが
聴いている子どもの脳のその部分の血流に変化がなかった。
そのかわり、、大脳辺縁系という、恐怖や驚き、喜怒哀楽等の感情に関わる部分が活動していることがわかった。
この大脳辺縁系を、認知神経生物学の教授、泰良雅登氏は「心の脳」と名づけ、
心の脳を活性化させることは、「生きる力」を育てることにつながる、とした。
本来、大脳辺縁系は、動物が恐怖や嫌悪を経験した物、場所を避け、喜びや楽しみを得た体験を再現しようとする、理性にとらわれない防衛本能行動をつかさどる。
ここをよく活動させることで、生物の基本行動に結びつく、自分の感情(喜怒哀楽)をしっかりわかる子に育っていくのだという。
これまで体験的に読み聞かせは子どもの感性発達に有効、と説かれてきたが、この研究で科学的な裏づけができた形になってきた。
考えてみる。
自分の感情がしっかりわかる、という当たり前に思えることが、実はうまくできないのが現代人の特性なのかもしれない。
今起こっているこの感情がどこからきているのか、本当はいやなのに、肯定する自分を本当の自分だと思ってしまったり
逆に、深層には喜びがあるにもかかわらず、拒絶が強く出てしまったり。
そして原因を理解できないストレスを持つことになったり。
わいてくる感情に素直に向き合える自分であれれば、ストレスにさらされない、強い自分を作れることにつながるはずだ。
理系教師の息子と、指導方法について話すことがあるが、
文系的分野にこそ、理系的視点が不可欠だと思うよと彼はいう。
そういえば、確かに、
朗読講座のなかでも経験的指導よりも、生物学的なはなしの方が、納得がスムーズな気もする。
呼吸法についても、かつ舌についても、発声についても
初歩の段階で器官の話から入り、、共鳴のことや舌の動きや、意識と体の連動など、
体のはなしをするようにしたことで、理解度が良くなった。
思いがけず指導的立場に立つようになって、5年?くらいになるだろうか。
学びたい人たちの想いに答えたいと思考錯誤の中で、あれも知りたい、これも知りたいと
ずいぶん寄り道に思える学習をしたけれど、
目指す道につながることは、枝葉や、ときに道外れに思えても、やはり貪欲に学んでいくことが必要なんだ。
うん、気が多いわけじゃ、なかったんだ。
と、自己擁護(笑)