講座の中で声の届き方のワークをしている。
大きい声なのに思った相手に届かなかったり、その逆もあったり。
声にそのベクトルを意識してもらう声掛け遊びを取り入れている。
とくに電話応対や録音、放送朗読の場合、入ってくる情報に視覚がないので
声の届け方がものをいうのだ。
たとえば、地元の市役所は電話交換手を外部委託で入れているが、この声を例にすると。
市役所に電話をすると
「はい、○○市役所、交換の△△でございます。」と第一声が耳に入る。
訓練された綺麗な声と発音。聞き取りはしやすい。
だが、人により選挙カーのうぐいす嬢のようなベクトルで電話応対するので
自分に応対してくれているというより、機械オペレーターの自動応対のように受け取れる。
あるいは、自分を突き抜けて後ろの空間に声が抜けていく感覚を覚える。
声の姿勢イメージとしては、背筋をぴんとのばし、誰にというのでもなくやや上空に視線が向かい
声を拡散して全体に話しかけている姿勢。
イベントコンパニオンが入り口でインフォメーションしている姿勢の声だ。
だが、電話応対では、ピンポイントで電話口の相手に返答しているのだから
このベクトルでは、人としてのコミュニケーション温度が伝わりにくい。
意識の中での目線を相手に向けて、腰を傾けその方おひとりに声掛けをするつもりの声ベクトルを選択すると
「あ、はなしやすい。問合せを聴きやすい。」という印象を持ってもらえる。
実際には、相手は見えない。そこで、イメージトレーニングをする。
相手を想像して、声の姿勢を作る。自分の応対姿勢をイメージすることで実際の姿勢は違っても声は変わる。
ここ数カ月、いろんな企業に問い合わせの電話をしてきた。
電話では、いろんな声応対にでくわす。
「人と話している」心地よさをくれるオペレーターは、その企業の「顔」を器量よしにする。
声の力は大きい。
読み聞かせや朗読は、その声のチカラで、物語と人とをつなぐ素晴らしい世界。
ともすると、読み聞かせの学びは読みの技術、本の持ち方等が優先しがちだが、
もっと根本、声は伝えるためのツールなのだというところを講座では伝えていきたいと思う。