涙腺が壊れた1時間

のんたん

2011年11月11日 11:56

テレビCM。

タレントのぐっさんがパパ。娘と回鍋肉の大皿を差し向かいでつついている。

最後の一口を娘の箸がはさむと、ぐっさんの泣きそうな顔。

すかざず、ママがフライパンを持って登場。

作りたてあつあつの回鍋肉を、空になった大皿に、どばーっと追加。

ぐっさんパパの安心と至福顔のアップ。


笑えて泣けた。

まんま我が家の光景じゃん、という笑いと、

この光景は、今はないというせつなさ。

夫は、もう箸をのばせない。


わたしは、母の手料理で育っていない。

料理は、実家の頃は食いつなぐために最低限を。

料理らしい料理は結婚してから順に覚えた。

結婚から10年は、スクラップブックにレシピの切りぬきをどっさりためていた。

ひととおりができるようになったのは、

来る日も来る日も、子どもたちと夫が

箸を伸ばし平らげてくれる光景をわたしにくれてきたからだ。

美味しいという笑顔を与えてくれてきたからだ。

成育史の中で持てなかった家族風景を、わたしはこの家族で得ることができてきた。

育ててもらったのだ。

改めて、ありがたく、嬉しく、そしてせつない。

1時間、2階部屋にこもって涙腺の壊れるままにタオルを顔にあてていた。

回復。

顔を洗った。





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