範囲内

のんたん

2013年10月15日 00:22

小さい波が来る。

どこかで、スイッチが入る瞬間があるのだが、そのきっかけは様々で予見が難しい。

たまたま聞こえた昔の音楽だったり、テレビのセリフだったり、風景だったり、匂いだったり。

予兆は、過食。お腹が張るまで食べても手が止まらず、手当たり次第に口に食べ物を詰め込みはじめる。

ああ、また、そろそろくるんだなぁと覚悟する。

それから、早くて半日、遅くて数日すると、大波が来る。

じっとしていられなく、さりとて何も手につかず、

家の中を小走りにうろつき、封印タンスを開いて遺服を漁り、ぬくもりを探し、残り香がすでにないことにいら立ち。

空に向かって声をかけ、名を呼び、壁を叩き、七転八倒

嗚咽で過呼吸になり、げーげーする。


感情の嵐が過ぎ去ると、しばし放心し、

数時間後には、何もなかったのごとく、また家事や仕事に戻る。


間隔は間遠くはなってきている。

泣かない日はないが、大波は日常ではなくなっている。

波の範囲は想定内。

そう思う事で安心する。

薬なんか要らない。

私の心は、通常「範囲内」で治まっている。

大丈夫。

あしたも、生きる。元気。






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