記憶が私を支えている
暑くて窓を開けている。
それでも汗をぬぐいつつPCに向かっている。
午後8時。ご近所のおとうさんが帰宅してきた車の音がする。
「ばんっ」車のドアを閉める音がして玉砂利の上を歩く音
「ふ~ただいまー」の声がして、玄関の開く音、閉まるまでの間
家の中から食器の音が聞こえる。
お父さんが帰ってきた!さー、食卓を整えよう、お茶碗運んで―、
なんて、待っていた家族が動きだす風景が目に浮かぶ。
かつてを思い出す。戻らない愛おしい時間。
戻らない物悲しさを一瞬、
それから「かつて」があったことの幸福を抱く。
何もなければ失うこともない。
失ったということは、「あった」ということなのだ。
記憶が、わたしを支える。
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