先日の記事で紹介した前塩尻図書館長、内野さんの新著にまつわる「縁」ばなし。さらなる「縁」につづくおはなし。
******過去記事**********
2014/07/29
えんぱーくは今日が開館4周年記念日とのこと。
今日は、まさに「縁」を目の当たりにする日でした。
クリックで拡大:酒井さん記事(市民タイムス)
諏訪にお住いの酒井慶二さんは、画家であり、アスリートであり、トロンボーン奏者でもある、多彩な才能を発揮されている方です。
今、えんぱーくで作品展を開催…
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ここから、本日の記事
『暗黙の戦友。その初対面の対峙は武士の立ち合いに似て』
塩尻市、高原通りに、地元の書店、「中島書店」がある。
お邪魔すると、店内には、内野さんの新著が平積みで置かれ、入口には、紹介看板が掲げられていた。
この書店は、過去にも内野さんの新刊がでると講演会の企画などをされてきた。
店内に中島店長がいらしたので、突撃おばちゃんの恒例「ねぇねぇ」よろしくお声掛け。
「内野さんの印象ってどんなですか?」
突然のこんな問いに中島店長の答え。
「とんでもない人ですよ。」
???!
こうして平積みでご本を置かれるほどでありながら、おちゃらけではなく、ごくごく真面目な顔でそうおっしゃるので、面白くなり。
お時間をいただいて(どこまで強気な突撃おばさん)、さらなる「勝手にインタビュー」
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「内野さんの本はすべて置いてます。
私は、これらの本を「ビジネス本」として読みました。」
え?「だから図書館めぐりはやめられない」や「図書館長論の試み」は図書館職員向けの本かと思いましたが。
「わたしたち書店は本を販売する、図書館は貸し出す、その違いだけで、
あの本に書かれている学びの精神やホスピタリティはすべて、わたしたち書店にあてはめられる接客の極意ですもん。」
なるほどぉ。図書館論を書かれている内野さんを「とんでもない人」というご感想をお持ちになったのは・・
「(笑)とんでもないっていうか、恐ろしい人ですよ、いや、次元がはるか彼方にあるんです。思考視点すべて。本のプロってこういうことなのかと、カルチャーショックみたいなものがありました。」
「塩尻図書館に赴任されてしばらくして、うちの店に立ち寄ってくださって。
しばし、物色された後、実は内心これは売れないだろうなぁと思いつつ仕入れたマニアックな本を買って行かれました。
え?っと思いましたねぇ。」
このはなしは、内野さん側からお聞きしたことがあった。
地元の書店に行ったら、「え?これが地域書店になぜある?」と思うようなマニアック本があり、
内心、ニヤリ、「おぬし、やるなぁ」と 店主の仕入れ眼に一気に親近感を持ち、
この本は俺が買わずして誰が買うという想いにいたって購入したんだよね、という思い出話。
ひととひとのはなしが、時間を超えてつながっていく面白さ。
そして本のプロ同士が、本を通じてお互いの力量を無言で認め合った妙。
図書館と書店は、いわば「敵対」の関係にある。
図書館が充実すれば、書店は干上がる。
だって読みたい本がただで借りられるのが図書館だから。
だから、新図書館ができた当初、中島さんは内野さんに「新図書館ができて売り上げが落ちました。」と苦言を呈した。
ところが内野さんは「すみません」でもなく「仕方がないことです」でもなく
「残念です。わたしは、図書館と書店の共存共栄を実現させたくて赴任してきました。」と答えたという。
「かなわない、と思いました。この人に学びたいと本気で思いましたね。」
そうか。このお二人は、常にお互いの節度と立場をわきまえながらも、内心で、「戦友」であったのだなぁ。
それが、こうした紹介ボードや一等場への平積み、なんだ・・・。
中島店長は、朝の開店から、夜11時の開店までほとんど出勤しておられる。
休みは元旦の1日だけ。364日勤務を長年貫いている「本バカ」店長さんだ。
書店組合の会合でも、他の書店は商売の話に終始する中で、
この中島さんと、ちいさいおうちの越高さんだけは、いつも本談義に夢中になっている。
その想いは、店内の整備に、表れている。
だから、探したい本が、見つかる書店。
ちなみにわたしも利用しているe-honオンライン書店でもある。お取り寄せ依頼もネットから気軽にできる地域書店だ。
オンライン中島書店高原通り店へリンク