冷静と情熱の間で
金曜の夜に。
泊まりがけで日本酒会。
こじんまりした相部屋で布団をくっつけあって3人で寝た。
そこで出会ったつむじ風彼女。
この4月に伊那に移住。地元での美術教師生活を投げうって。
画家業を核として地域コミュニティの創造に生きる。
そして怒涛のコミュニケーション力で、まるで土着人のように、地域の風となっている様子。
ひとなつっこさがにじみでるふんわりな容貌と笑顔。
「自分のアンテナに従って動くと決めたの。」
容貌と裏腹の、きっぱりはっきりな視線。
突然にも見える人生の転換。
だが、彼女の中では「必然」中の「必然」。
その覚悟と達観と、あやうくさえ見える感受性と。
朝の風呂上がりの濡れた髪で、同じ布団の上で。
キラキラを通りこして。
光線のごとき光を放つ感を持つひとみを
不思議な気持ちで眺め、彼女の話に聞き入っていた。
彼女は今、「生きる」ことを「生きている」のだと、思った。
反対側の隣で眠ったのは、美しい物静かな女性で。
たぶん長野県内では彼女の右に出る日本酒通はいないだろうと業界で「アマチュアのプロ」と呼ばれている。
カロリーのある日本酒が大好きな割に、スレンダー。
「飲むためには、体のメンテナンスをします。ジムで筋肉、体力をつけ、摂取分のカロリーは消費しますから。」
低めの静かな声、体幹の鍛えをおもわせる、背筋、二の腕の美しさ。
自分を多くは語らない。でも静かにそこにいて、空間と時間を愛でている感覚が見えて。
朝の珈琲の飲み方さえ、美しかった。
人との距離感が対照的な二人。にもかかわらず、ここちよい挟まれ寝だった。
冷静と情熱の間で。
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