短歌を読む

のんたん

2010年10月16日 00:59

先日の教室では、先に行われた全国短歌フォーラムin塩尻の入選作品の朗読をした。

子どもたちの感想が興味深かった作品を少しあげてみる。

自由題入選作

『このまんま 死ななかったらどうしよう このごろ元気な姑の口癖』



読んですぐ「わぁ~ブラック;」との声。

「え?そう?」

「これお嫁さんの嘆き?」

「あはは、いえいえ、これはお姑さんが自分で言ったセリフよ。

わたしなんだか死なない気がするわ、っていう元気なおばあちゃんのセリフ。

お嫁さんきっとこの口癖にくすっと笑ってこの句を詠んだんじゃない?」

「いや~~。だめだよ、死ななかったら見る人が大変過ぎ;」

「え?・・そ、そうかな、親には長生きしてもらいたいって思ってるよきっと」

とちょっとどきっとして答えたが、

この発言をした子のうちでは、いままさにお母さんがおばあちゃんの介護に奮闘中とのこと。

見ていてお母さんの大変さがせつないらしい。

あ~。。。なるほど、と思う。  優しい子だ。


他の入選作

『十キロのやわらかきものモコモコと われを乗り越える日曜日の朝 』

感想はクイズ回答のように。

「10キロのもこもこぉ?なんだそりゃ」

「あ、それ犬だ」

「猫かもしれんじゃん」

「ひつじ?」

「ありえね~w」

ヒント。ゆっくり寝てたい日曜日の朝、布団かぶってまだ寝てるお父さんの上をモコモコといくのは?

「・・・あーーー、わかった!  あかちゃんだー」

「そっか、はいはいで?」

「10キロっていうと1歳ちょっとくらい?とっとと歩くってとこにはまだいかないよちよちだね」

「ああ~なるほど、それで、もこもこかぁ」

赤ちゃんという言葉には、魔法があるのかもしれない。ふっと子どもたちの顔がほころぶ。


大賞作品

『君の眼は二人の少女たちの目に生きて どこかで今年のさくら見てるよ 』

この短歌の背景を説明しはじめると

「はい、やめやめ!言わなくていい!」と語気を荒げた男子がいた。

感受性が強い子には、瞬時にその背景が理解できて、みなまで聴きたくない、奥まで触るな、という気持ちが働いたようだ。

視線を外したこの子の感性が いとおしかった。


わたしも母親だ。

この歌を、わが身に想えば、感傷より「思いたくない」という感情がたつ。

うたは、奥深い。






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