あなたを想ふ

のんたん

2010年12月01日 13:42

今年の短歌フォーラム学生の部で最優秀賞をとったのは、

「手を振ると 手を振り返す君 ほほえんで ミサンガ揺れる君の左手」

という中学2年生の女子生徒の作品でした。

インタビューの中で彼女は友達に彼氏ができたとき、生まれた歌だとはにかんで答えてくれていました。


情をことばにこめる、その作業を後押ししてくれるのは、やはり、人想うこころ、恋の情景が一番なのかもしれません。

万葉の時代から、多くの「恋想い」が歌に詠まれてきました。

「人想う」思いに特化して短歌のコンクールをしているところもあります。

やはり、若い人の応募が多いようです。

クリスマスも近づき、想いに拍車がかる時期ですね。

「あなた」を想う恋の歌を、いくつかあげてみたいと思います。

(以下、万葉の里短歌募集HPより転載。)


2009年最優秀賞

てのひらが君の乳房を包むとき我を捨てたる母を想ひし  横井光太郎さん   (愛知県 )


以下入選作品から心に響いた歌


レポートで「故意に」と打つと「恋」になる忘れたはずの想いが戻る  
永田翔子さん   

君がいた桜遍くこの坂は僕が魔法にかかった場所だ  
牧田尭之さん   

すこしだけ深入りしたい夜もあり甘口ロゼの注文をする 
岩本幸久さん   

君の背と同じくらいと気がついて寄り添ってみる向日葵の陰  
岩田和佳奈さん  

言わせたい「逢おうか」じゃなく「逢いたい」と愛を欲張る五年目の夏  
大岸ひとみさん

三度目の「あのね」の後の沈黙に心の中で頑張れと言う  
林さゆりさん   

きみのくれた缶コーヒーは熱すぎて友じゃつらいと想う冬晴  
山田聖規さん 


ん~~。いいですねぇ。甘酸っぱくて。

最優秀賞の歌は、どきっとします。これはここ数年の最優秀賞の中でもとくにすばらしい。



恋のせつなさを存分に味わうのにはやはり、片想いの句がしっくりくるかしらん。



「思わじと言いてしものを はねず色の うつろひやすき 我が心かも」


「思へども 験もなしと知るものを 何かここだく 我が恋ひわたる」

万葉集第4巻 【坂上郎女】(さかのうえのいらつめ)



あなたを想う、冬空の下。(^-^)




  






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