花冷えの昼下がりに
さいたまで暮らしていたころのママ友からお手紙が来た。
お隣どおし、よくうちで子供を遊ばせながら話し込んだ。
個性的な女性で、いわゆる井戸端会議的な会話にならず、
作家の話や、焼き物、絵画に至るまで独自の見解と博識を持つ彼女の話は、
あちこちに飛びながらも楽しかった。
こちらへ転居し、お姑さんとの同居が始まり、文通も途絶えがちになっていたが、
一度、まだ幼い子たちを連れて、夏休みにさいたまへ、里帰りならぬ、友帰り泊をさせてもらったことがあった。
そのときの想い出話とともに、一篇の短歌を添えて。
『妻の労を そっとねぎらふ遠き夏 わがままも言わぬいじらしさ故』
あの時ね、あなたが帰ったあと、たぶんまだそっちにつかないタイミングでご主人からお礼の電話があったの。
「よい気分転換にをさせてもらってきたと思います、ありがとう、」って。
貴女のご苦労を、ちゃんと理解しておられたのだと思います。口には出さなかったでしょうけれどね。
その時を思い出して作った歌なの。
と解説を。
・・・・。
ありがとう。。報われます。
四面楚歌と思っていたあの時代を、温かいものに塗り替えてくれたお手紙。
結びのことばは、
花冷えの昼下がりに かしこ とあった。
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