認知症の症状が進むお姑さん。
彼女の中に生まれた「あとがわりのじぃ」(自分と一緒に商売をやっていて自分を元のうちで待っている人)
は、どんどん細部にわたる具体性を帯びて現実化(?)していく。後ろの方の失禁も増えた。
毎月1回地元の総合病院の内科で診察、血圧や糖尿や眠剤等を処方してもらってくるのだが、
ここ1年お薬の処方に変更はなし。診察室でも会話も内科的なものだけでささっと終わる。
でも、認知症症状はどんどん変わっていく。その辺が心配だった。
お姑さんは、うちに来る前は、毎日仲の良いおばあさん友達と日がなお茶を飲みながらおしゃべりを楽しんでいた暮らしをしていた人なので、
話し相手の不足から生まれてきてしまったのかなぁ、とか、
もっといっぱい、聞き役に徹してくれるプロのもとでおしゃべりできる場所があればもしかして・・と思い立ち
松本市内の精神科のある病院へ問い合わせてみた。
あ、ここいいかも、と思ったのはその精神科は予約制であったことと(どこもそう?)、
その予約も受付の人が受けるのではなく、直接精神科の先生につないでくれて、先生がちゃんと様子を聞いてくれて日をきめてくれたこと。
今日が予約の日で、朝のうちに、松本へ。
初めての場所でまごついていると総合案内の人がやさしくて、車いすを出してくれて使い方を教えてくれて
そのあとの手続きなども細やかに気を使ってくれたのでとても安心感があった。
最初に問診票?を書いて、それをもとに対話室で女性スタッフ(こういう仕事は精神保健福祉士かなぁ、いや、ソーシャルワーカー?)さんと面談。
その後、精神科の先生の診察という流れ。
感想としては「丁寧」に扱ってくれたなぁ。。という感じ。
内容的には、加齢による認知症の症状なので、改善はしていかないし
周りの対応をいかに良くしても進むものは進んでいくし、付き合っていくしかないね、って話で
魔法みたいな良い話はなかったんだけど、「時間をかけて」つきあってくれるってことが、患者や付き添うものにとって
いかに「良薬」になるかってことを、実感してきた。 妄想が歯止めなく進まないカット術も少し教えてもらってきた。
本音を言えば、こっちに鞍替えして内科の薬も全部こっちに出してもらいたい(内科もある病院)気持ちになったけど
「今の主治医の先生とお薬のことも含めてご相談なさりながらやってみてください。で、それでもどうしても困ってきたらまた、こちらでも対応しますからいつでも」というおっしゃり方だったので、(そりゃそうだよね)
お礼を言って引き揚げてきた。
帰りは総合案内の人が駐車場の車まで一緒に来てくれて車椅子を押してくれたので、
車にお姑さんを1人残して車いすを入口まで返しに行く、という「気が気でない」時間を持たずに済んだのですごくありがたかった。
こういうちょっとしたことが、すごっくすごっくありがたいのだ。
で、帰りの車の中で考えた。
話を聞いてもらいたかったのは、もしかして、「私」だったのかもしれない。
いつもの内科での受診は診察室で同席。具体的な症状を先生に話すにも隣のお姑さんのプライドを傷つけてはと気が気ではなく
濁したり遠まわしにちょっと、という感じで話すしかなかった。
今回はお姑さんと分離して症状の説明を聞いてもらう時間がもたれたので、安心して症状を説明できたしそれにかかわる心配事や対処法を質問できた。こたえに納得もできた。
安心、というお薬を、私はいただいてきたのだ。
お姑さんは、疲れたのかぐっすり寝ている。 いい先生だったねぇ、と車の中で言っていた。
彼女がお医者さんをほめるのは、実はめずらしい。(笑)
いろんな先生にかかってきているからねぇ、これまで。
無駄足では、なかったな。よかった。