因縁

のんたん

2010年12月14日 19:19

9月15日に緊急処置扱いで短期施設におばあちゃんをお願いして3カ月。

今日が既定の退所予定日だった。

帰宅も覚悟していたが、つい先日ケアマネさんから、

認知症専門のグループホームに1件だけ空きがあるところが出たから

見学に言ってみたらとご連絡をいただき、昨日、おばあちゃんをグループホームの見学に連れて行った。

先週もけっこうぐずっていたので、気分転換にもなるかと、外出届を出して連れだしてみた。

拒否られたらどう対応しようかと腹積もりを考えつつだったのだが

案ずるより産むがやすし?

「こんないいところにあたしが入れるのか?」ときょろきょろと見回し

吹き抜けの高い天井を仰ぎ見る。

喜ぶ様子をみせて入室予定の6畳間の個室を、窓を開けてみたりクローゼットを開いてみたりして興味津津。

作りつけのおおきな鏡の洗面台もいたく気に入ったようでしきりに鏡をのぞく。
窓の外には、田園風景が広がり窓のすぐ前にある木に小鳥が集っているのを見つけにこにことする。

あたまをすっぽり預けられる大きなソファーに体を預けてテレビを見いる入所者をみて、

「おひんこのよい(品の良い)ひとのあつまりだわねぇ、きてるものがちがうわ」

とわたしにささやいてみたりする。


ああ。彼女の求めていたものが少し、見えてきた気がしたり。

気に入ったようなので入所手続きをすることに。


他の家族は12月は土日も休めないので引っ越しは私一人の作業になる。

ベッドは以前購入した家具屋さんに事情を話して運搬をお願いした。

あとはピストンでこわけに運び込むことにする。


提出するたくさんの書類の中に彼女の「人生史」を記入する用紙があり。

すらすらと書く私を施設の人がまじまじと見る。

「・・・娘さん?お嫁さんですよねぇ?」

そうなんだよなぁ。

27年の傾聴の歴史はわたしに、息子である夫より姑おばあちゃんの人生を把握させている。

奉公に出た娘時代の話から亡くなった兄妹のこと、結婚のエピソード、商売の浮き沈み、亡くした子らのこと、疾病歴、御近所付き合いの喜怒哀楽。

でも自分の親のことは、こんなに知らない。

赤の他人で、けしてかわいがられた嫁ではなかった私がおばあちゃんの人生にこんなに関わっている。

この十分の1でもいいから、わたしを育ててくれた養祖父母につくしたかったものだと思う。

今の経験記憶のまま10代に戻りたい。

そしたら、いろんな食事を温かく出したり、お風呂に入れてあげたり

マッサージしたり湯たんぽ入れたりしてあげられるのに。

実母のときは、急逝ではなかったので半年だけ看病にかよう時間を神様にもらえたが、

祖父母のときは、まだ小学生だったり、高校生だったりで、下着の交換を手伝ったくらいで、なにもできなかった。



とも、思いつつ、きげんのよいおばあちゃんをみればやはり、ほっとする。

情が縁につながるとは限らない。

好きな人と暮らせるとも限らない。

それでも、人は、人とかかわって、身を尽くして生きていく。

因縁?、宿命?たましいの修行?


つくしたかった人への回向を持って、目の前の人につくす。

まわりまわって、想いはどこかに届くだろうか。。。



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