看取り
父はきまりのよい人だった。
危篤の状態から何度も息を吹きかえし頑張ってくれていたのは、
みんなが揃うことができる連休を目指してくれていたのだろう。
今朝、息を引き取った。
泊り込んでくれていた上息子からのメールで病室に駆けつけると
ジャストタイムでモニターの波動がまっすぐに。
戦いの後、まだほてるように熱い身体をさすってお別れを言った。
叔母夫婦もかけつけてくれ、お昼過ぎには兄夫婦も到着し、
みんなで父を囲めた。
ながらくお世話になった看護師さんたちに見送っていただき
遺体はセレモニーセンターの別棟(家族棟)へ安置。
「おくりびと」スタッフさんたちが、丁寧にそれはやさしく湯灌をしてくれ、
持参したお気に入りだった着物を着せてくれた。
お風呂が大好きな人だったから、きっと気持ちよかっただろう。
穏やかな、よい死に顔で眠っている。
見守りは兄夫婦に任せて、居宅により、諸連絡などをになった。
これからセンターに戻りお寺様の枕経を終えたら帰宅することにする。
生後5ヶ月の兄の息子は、お嫁さんの腕の中で無邪気ににこにこしている。
下息子に夫を頼み飛び出てきた一日が終わる。
上息子は、父の湯灌を終えた足で、昨夜急逝した元同級生の通夜に向かった。
逝く者と、生まれきた者と、生きていく者と。
父の匂いが、まだ身に残っている。
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