デジャブ
いままで寝ていた夫がむっくり起きてきてなにか探し始めた。
かあちゃんは明日学級当番だからさ、俺今、日誌書いといたから回覧板と一緒に先生に回しておいてやろうと思うんだけど、見当たらないんだ回覧板が。
(学級?あ、幻覚かな)
そっかぁ。
ありがとう。
大丈夫だよ。夜で暗いからさ、朝になったら探そうよ。今夜んとこはもう寝りや。
それもそだな。
明日だな、ん。
ベッドに誘導して、ぼりぼりと体を掻いているのでよもぎローションをゆっくり塗りながらしばらく会話するうちに
また寝息をたてはじめて、ほっとする。
幻覚と正気の合間を行き来しながら暮らす夫に寄り添いながら、ふと。
あれ?なんか同じような日々が…。
ああ、そうだ。
去年の今頃は、おばあちゃん相手にこんなふうに会話してたんだよなぁ。
おばあちゃんのときはなだめるのが大変だったけど、夫は拍子抜けするくらい素直でかわいくさえある。
妻、というより母になったような気分。
おばあちゃんのときも、嫁さんとして目上に接する態度を貫くよりもっと保護者的に抱き抱える気持ちでいたほうが甘えてもらえたんだろうか。
おばあちゃん側の立場やプライドもあってそれも難しかっただろうか…。
夫の幻覚に付き合いながら、でない答えを探したりしている。
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