お漬物大好き人間の夫。
野沢菜漬、たくあん、白菜漬に目がない。
野沢菜を漬けるときは、本漬けが漬かるまでのつなぎに、先に食べられる切り漬けを2キロほどする。
漬けた翌日から、夫はその切り漬けを楽しみに待ち切れず
「いつ食べられる?」「まだかなぁ。」と毎日のように催促するのが恒例行事だった。
だから今年もお漬物だけは、たとえ食べられようが食べられなかろうが絶対漬けたくて夜中に頑張った。
例年は霜のあたった菜を12月頭に漬けるのだが、今年は気持ちがせいて早めに漬けたのだ。
その切り漬けがようやく食べごろになり。
タッパーに詰めて病室に持参した。
「なっぱ、持ってきたよ。」と声掛け。
「・・無理だよぉ。」の手振りジェスチャーで力なく笑う夫だったが、
この夫が菜っぱに反応しないわけがないと妙な確信があって、鼻先でタッパーのふたを開け香りを渡した。
すると。
「ん~~♪・・・。」
いつも出る、好きな食べ物が出たときの鼻ならしが出た。
やった♪
「起こしてくれる?」というので電動ベッドの頭を上げると
指つかみで、切り漬けを一口、口にほおばり
「ぽりぽりぽり・・。」
飲みこみは無理なので堪能するまで噛み終わったところで、左手にかまえたティッシュに吐き出してもらい。
「ん~~、っまい。」
おぉぉ~、味わえた。よかった。うるうる。
と、夫、また指で次の一口。
「ぽりぽりぽり・・。」 「ぺっ。」
さらにひとつまみ。
「ぽりぽりぽり・・。」
またひとつまみ。
(え?まだいく?;)
いけて一口かなと思っていたので予想外。
数回、噛んでは吐き出しを繰り返し、
「は~~、ごっつぉっ!」とため息。
あたたかい麦茶を渡すと、ごくごくとコップの半量を。
「なっぱでお茶は、やっぱりうまいなぁ。。」と笑う。
心の中で、ガッツポーズのあたし。
漬けてよかった♪
もちろん、夫の持ち直しは、なっぱ漬けだけの奇跡でもなく。
昨日担当の、ちょっと挙動が不思議な年配看護師さんが経皮麻薬パッチを半量しか貼らずにいたのを
今日担当の、てきぱき看護師さんが朝発見して急いで追加貼付してくれたことや、(ありがたかった)
そのてきぱき看護師さんがおなかの張り具合から導尿の必要を感じて主治医の許可をとり処置をしてくれたことで
状態改善がいくぶんなされたことも大きく。(入れ方上手だった)
ずっとこの人が担当ならいいなぁと内心思ったりもした。
と同時に、信用しないわけではないが、薬ひとつひとつ、動きがあるたび私も確認が必要だなと思った。
ここは看護師さんによって、点滴でも薬でも施す前に説明と量確認を渡してくれる人とスル―な人がいるから
こちらで気をつける必要がありそうだ。
夫が今年も食べることができた野沢菜漬。
こうなると、欲が出る。
たくあんが漬かるのは暮れあたり。
封開けを絶対、食べてもらうんだ。
うん。