2012年07月10日

朗読の学び~待ちから攻めへ~

6年前から預かっている視覚障碍者向け情報保障の朗読者養成講座で、私が担うのはほんとに入口。

基礎的な項目と「学び方」の道しるべを渡すに過ぎない。

たかが全10回、うち開講式と修了朗読会を抜いて、8回、16時間の間に

基礎発声から読み方の基本、読み分けの種類、傾聴、ガイド法、周辺法規、配慮、調査。校正の各技術基本、

朗読ボランティア活動の全過程を詰め込んでいる。

これらは、活動を始めてしまうと改めて学ぶ機会がなかったので、養成講座の中に入れた。

それまで外部講師を依頼して行われていた「読みの技術」だけに特化した講座と大きく変わった。

利点は、「朗読ボランティア」という活動の全体像を把握し活動に臨めること。

入会してみて「こんな大変な活動だとは知らなかった」とやめていく人は、激減した。

だが、ネックは読みの技術を繰り返し学習する時間が少ない。

「読みの技術」の向上は、入会後のそれぞれの新人の「姿勢」にゆだねられる。

講座の中で、

「人の読みを聞いて耳を育てること」

「活動はカルチャースクールではない、自分から学ばないと伸びていけないよぉ」

「先輩からどんどん吸収してね」 と声掛けはしているが、

実際には数年で、その技術に大きな開きがでてくる。

発信するための朗読録音はすべて、先輩校正者の添削を受ける。

当たり前に初期の頃は、「けちょんけちょん」に直されてくる。

「全編入れ直し」の告知さえ返ってくる。

それにめげて、やめちゃう人や、校正の甘い先輩を選び始める人もいる。

「忙しい中を時間を割いて録音しているのにあんまりだわ。」

この意識がある人は、この活動に向かない。

嬉々として、今度はどうでしょう、と喰らいついてくる人もいる。

先輩の過去録音を聴きまくって(貸出自由で棚にストックしてある)

これぞと思う先輩にぶらさがり、「師弟」関係を作り、

一から、教えを乞いながら録音に臨む人もいる。

気がつかない人は、何年たっても変化がでてこない。

年齢や、前職のプライドや、さまざまな要因がその人の向上を妨げていたりする。

「講座の後のフォローが少ないんですもの。」と待ちの姿勢がくずれない。

「あの人はどんどんうまくなる、どうして?」に気がついて、ああ、そうかとエンジンがかかる人もいるが

はなから、人の朗読を聴かない人は、その機会も訪れない。

だが人は見ている、というか聴いている。

暗黙の評価が、ついてくる。

活動が「つまらない」「大変でしかない」と不満が出てくるのは、攻めに入れなかった人たちだ。

ボランティアは「自発」でなければならない。

ボランティアは「楽しく」なければならない。

楽しみは、待ってても落ちてこない。

攻めて、自分の手でつかんで行ってほしい。

どんどん、ポジティブに人とかかわってほしい。

そのために先輩や仲間がいる。








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Posted by のんたん  at 09:34 │声仕事

この記事へのコメント
はいッ!くらいつきます^^
Posted by なづな at 2012年07月10日 18:51
なづなさん

(笑)さすがですね。
はいっ!の勢いが、すてき。

なづなさんに食らいつかれている師匠さんは、果報もの♪
Posted by のんたんのんたん at 2012年07月10日 20:15