2014年08月13日

まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

7月にえんぱーくで「まぜっこ絵本てづくり講座」がありました。

全3回、各2時間。

1回目。いろんなむかしばなしの登場人物やお話をミックスしておりじなるなおはなしを考えます。

2回目。お話をもとに絵の下絵を考えます。できた人から色塗りへ。

3回目。色付けを完成させて表紙を描きます。

お子さんたちに混じって大人も夢中になった全3回。かけあしだったので、丁寧とはいきませんでしたが

時間が限られた分「勢い」で描けた気がします。展示期間が終わり帰ってきたので、

恥ずかしながらの成果発表。写真が少しくらいかな。すみません。


タイトル
まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―


まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

森(もり)のはずれに アリスという女の子がひとりで住ん(す)でいました。
ひとりでくらしていたけれど、アリスの小屋(こや)にはたくさんの動物(どうぶつ)がいつも訪(たず)ねてきていました。


まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

アリスのほっぺには、まぁるい大(おお)きなこぶがありました。
アリスは、ころっとかわいいほっぺのこぶが、大好(だいす)きでした。
山(やま)ぶどうの種(たね)からしぼったオイルでやさしくお手入(てい)れ、
ほっぺはいつも、ぴかぴかつやつやで、ほんのりきれいなピンク色(いろ)。
こぶのおかげで夜(よる)になっても明(あ)かりがいらないくらいでした。
動物(どうぶつ)たちも、アリスのこぶの光(ひかり)が大好(だいす)きで
昼(ひる)となく夜(よる)となくアリスのそばにおりました。


まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

ある日(ひ)、アリスが森(もり)にキノコをとりにいきました。
いつもより森(もり)の奥(おく)に進(すす)むと急(きゅう)に雨(あめ)が降(ふ)ってきました。
「こぶがぬれたらかわいそう。」
アリスは大(おお)きな木(き)のほら穴(あな)で雨(あま)やどりをすることにしました。

ほら穴(あな)は思(おも)ったより奥(おく)が深く(ふか)、奥(おく)からここちよい土(つち)の香り(かお)がします。
アリスは落ち葉(おちば)のふとんの上(うえ)でいつのまにか眠(ねむ)ってしまいました。


まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

こぶをつんつんするひっぱられて、アリスは目(め)を覚(さ)ましました。
目(め)を開(あ)けてびっくり。そこには、小(ちい)さなブタが3匹(びき)、アリスの顔(かお)をのぞきこんでいます。
よくみると、どのブタも、おじいさんです。
「そのこぶ、おくれ~。」
一番前(いちばんまえ)でこぶをさわっていたじいさん小(こ)ブタが言(い)いました。
うしろの二匹(にひき)のじいさん小ブタも「おくれ~。」「おくれよぉ~。」
というように口々(くちぐち)にぶ~ぶ~鳴(な)きました。


まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

「だめよ。このこぶはわたしの大事(だいじ)なこぶなんだもの。」
アリスが断る(ことわる)と、じいさんと小(こ)ブタたちはかなしそうにしょんぼり。
かわいそうになったアリスは、どうしてこぶがそんなに欲(ほ)しいのか聞(き)いてみました。
すると、一番前(いちばんまえ)のじいさん小(こ)ブタが言(い)いました。

わしたちは、ずっと3匹(びき)でこのほら穴(あな)の中(なか)で暮(く)らしているんじゃ。
魔法(まほう)にかかっていつまでたっても大(おお)きくならないので、この森(もり)に捨(す)てられた。
それからずっとこの暗(くら)い穴(あな)の中(なか)で暮(く)らしてきた。
小(ちい)さいけれどかかった魔法(まほう)のおかげで、できることだってある。
わしは言葉(ことば)が話(はな)せるブタ、
二番目(にばんめ)のやつは、遠(とお)くても高(たか)くてもなんでも採(と)れる手(て)をもっている。
三番目(さんばんめ)のやつは、毒(どく)の匂(にお)いをかぎわける。
だからこの森(もり)で生(い)き延(のび)びてこられた。
でも、友(とも)だちもいないし、暗(くら)いし、さみしいし。
あんたのこぶはとってもきれいで明(あか)るいし、それがあったら、
ここでの暮(く)らしも、きっと楽(たの)しいものになる。


まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

アリスは考(かんが)えました。
わたしは、たくさんの動物(どうぶつ)たちと暮(く)らしている。
小屋(こや)は昼間(ひるま)は明(あか)るいし、夜(よる)は寝(ね)てしまえば暗(くら)くてもいい。
このブタさんたちは、きっとわたしのこぶを大事(だいじ)にしてくれるわ。


アリスはほっぺのこぶを、小(こ)ブタのおじいさんたちにあげることにしました。
アリスが「いいわ、こぶをあげる。」
というと小(こ)ブタじいさんたちは大喜(おおよろこ)び。
二番目(にばんめ)の小(こ)ブタじいさんがアリスのこぶを大事(だいじ)にそっとひっぱると、
それまでどんなときもアリスから離(はな)れなかったこぶが、するっとアリスのほっぺからはずれました。



まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

アリスからはずれたこぶは、ほら穴(あな)の天井(てんじょう)に飾(かざ)られました。
ほんのりきれいなピンク色(いろ)に輝(かがや)き、ほら穴(あな)をやさしく照(て)らしました。
3匹(びき)の小(こ)ブタじいさんは、幸(しあわ)せそうに目(め)を細(ほそ)めました。
アリスもとってもうれしい気持(きも)ちになりました。



まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―

それから、アリスのこぶが小(こ)ブタじいさんたちのほら穴(あな)に飾(かざ)られたと聞(き)きつけた動物(どうぶつ)たちは、ほら穴(あな)を訪(おと)れるようになりました。
小(こ)ブタじいさんたちは、もう、ちっともさみしくありませんでした。
アリスと動物(どうぶつ)たちも、もっと楽(たの)しくなりました。
3匹(びき)の小(こ)ブタじいさんのおかげでアリスは、おしゃべりが楽(たの)しめるようになり、動物(どうぶつ)たちは、届(とど)かなかった木の実(このみ)をもらえたり、
毒草(どくそう)をかぎわけてもらえて、病気(びょうき)にならなくなりました。
アリスはお礼(れい)に、森(もり)のごちそうをたくさん作(つく)っては、
ほら穴(あな)に動物(どうぶつ)たちと訪(おとず)れました。
こうして、いつまでも、みんなで、幸(しあわ)せに、暮(く)らしました。


おしまい(裏表紙)

まぜっこ絵本―アリスにこぶがあったなら―



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Posted by のんたん  at 18:06 │表現を学ぶ