2014年08月18日
父のはがき

ご無沙汰して居ります。
昨夕、午后〇時△△分、女児が生まれました。
破水が意外に早く病院へ行く暇なく家で出産しました。
逆子のため、後五分で死亡するところまで行きましたが、その後息を吹き返し無事に居ります。
今のところ心配ありません。
今度は丈夫に育てたいと思います。右取り急ぎお知らせまで。
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(2週間後)
其の後母子とも健在で母乳も順調に出始め、へその緒も九日目に取れました。
御七夜には、祝杯を挙げ、のりえと命名いたしました。
陽気が好いので生活し易くお湯をつかわせるにも楽です。
梅雨に向かいますがご自愛ください。
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実家の祖父にあてた父手書きの「はがき」2枚。
祖父のふみ箱に残っていた。
電話もほとんどない時代、多くの書簡のやりとりもあったろうが、記念にとこのはがきを残してくれたのだろうか。
切手は「5円」の時代。郵便番号という世界がなかったようで記入マスさえ、ない。
次兄が1歳にならぬ前に亡くなり、喪失鬱を乗り越え、数年後、私を生んだ母。
逆子のうえにいきなりの破水で腹の子は窒息寸前、いそぎ産婆さんを呼びに行き自転車の後ろに乗せて駆け付けた父。
拉致するように連れてこられた産婆さんは「下駄さえはかせてもらえらなかった」と述懐したという。
あと5分遅ければ、この世に産声を上げなかったかもしれないわたし。
顔に残った太田母斑と、死なせるよりはなんぼかましと力任せに出かかった片足首をもち、産道を引きずりだした故の股関節脱臼が
九死に一生を得たおつりながら、
無事に育ったことは、親孝行になったろうか。
いただいた命は、次につなげました。ありがとうございます。
Posted by のんたん
at 03:42
│回顧シリーズ
のんたんさんが、様々なものに真摯に全力なのは、頂いた命と言う想いがあるのでしょうか。
うまく書けませんがお父様の想いが伝わります。
私もこどもの頃に、抱きかかえられた所から落ちて、頭を打ち、このまま反応が無ければ覚悟してくださいと言われた事があったらしいのですが、本人は当然全く知りません。ただ今、こうしてここにいるので大丈夫だった様です。感謝をしなきゃいけないですね。
本人はケロッと知らずにおりますが親の心配はつきず、を自身が親になって体感し、ありがたかったなぁとつくづく思いますねぇ。
亡くなった次兄の生まれ変わりと言われてもピンとこない人生でしたが、生きていることの奇跡を大切にしなければいけませんねぇ。。