2015年07月18日

冷静と情熱の間で

金曜の夜に。

泊まりがけで日本酒会。

こじんまりした相部屋で布団をくっつけあって3人で寝た。

そこで出会ったつむじ風彼女。

この4月に伊那に移住。地元での美術教師生活を投げうって。

画家業を核として地域コミュニティの創造に生きる。

そして怒涛のコミュニケーション力で、まるで土着人のように、地域の風となっている様子。

ひとなつっこさがにじみでるふんわりな容貌と笑顔。

「自分のアンテナに従って動くと決めたの。」

容貌と裏腹の、きっぱりはっきりな視線。

突然にも見える人生の転換。

だが、彼女の中では「必然」中の「必然」。

その覚悟と達観と、あやうくさえ見える感受性と。

朝の風呂上がりの濡れた髪で、同じ布団の上で。

キラキラを通りこして。

光線のごとき光を放つ感を持つひとみを

不思議な気持ちで眺め、彼女の話に聞き入っていた。

彼女は今、「生きる」ことを「生きている」のだと、思った。


反対側の隣で眠ったのは、美しい物静かな女性で。

たぶん長野県内では彼女の右に出る日本酒通はいないだろうと業界で「アマチュアのプロ」と呼ばれている。

カロリーのある日本酒が大好きな割に、スレンダー。

「飲むためには、体のメンテナンスをします。ジムで筋肉、体力をつけ、摂取分のカロリーは消費しますから。」

低めの静かな声、体幹の鍛えをおもわせる、背筋、二の腕の美しさ。

自分を多くは語らない。でも静かにそこにいて、空間と時間を愛でている感覚が見えて。

朝の珈琲の飲み方さえ、美しかった。


人との距離感が対照的な二人。にもかかわらず、ここちよい挟まれ寝だった。

冷静と情熱の間で。









  

Posted by のんたん  at 18:27

2015年07月16日

ひとを立てる作法

先日えんぱーくチャリティコンサートに。

(公式ページから映像引用)


素敵な演奏を堪能した後、仲間とともに、会場で会えた「いちた」の純子さんを囲んでの一枚。



この中には写っていないが、

このコンサートで、前列に座っていた私たちに、演奏者に花束をお渡しする役目を、そっとご依頼くださった女性があった。

お手作りのかわいらしい花束を演奏者の人数分作ってこられたのだ。

だがご自分は表に立たれない。来たお客様にそのお花を託し、演奏者をねぎらいつつ、お客さまに演奏者とのふれあいも提供する。

声楽家の女性にお花を渡すかわいらしい少女も一期一会、お花を渡すお役目に少し緊張しながらにこにこと花束を差し上げていた。

あとで、「お渡しのお役を受けてくださってありがとう」と笑顔で。

わたしたちは「光栄なお役目をありがとうございました」と。

ありがとうの渡しあい。

他のお客様には、このサプライズがあらかじめ用意された企画に思われただろう。

名のある方が、自分を出さず、人を立て、企画を後押しし、それを喜びとする姿勢を垣間見て、

なるほど、人に推される方というのは、こういう心根で動いていらっしゃるのだなぁと感じ入った。





  

Posted by のんたん  at 04:32

2015年07月11日

慶二郎さんのおはなし

朝一番で原田泰治美術館へ。

秋の語りのご相談で、酒井慶二郎さんが今展示会をしているこの美術館へ伺いました。

ご両親に、絵の生まれる風景や、慶二郎さんの日常。ご家族とのコミュニケーション、絵を取り巻く人々との交流、

その方々にいただくもの、お渡しできたもの、絵の中にご両親だからこそ受け取れる慶二郎さんの遊び心。

そんなおはなしを嬉しく聴かせていただきました。



今回は、既存の作品朗読ではなく。慶二郎さんの絵物語を語ります。






お父様、明彦さんが語ってくださる絵のおはなしは、ハートフルで、

そう、たとえばそれだけでも心にしみる秀作短歌の選評を、これまたすぐれた歌人が聴かせてくれているときのあの感じ。

お母様の恵子さんが優しくうなずき、ときに笑いを交えて付け加えを。

素敵なご夫婦の形。

喫茶でおいしい花梨ティーをごちそうになりました。




慶二郎さんの写真は撮りませんでした。

自閉症をもつ慶二郎さんは、ただそこにいる、という難しい仕事を頑張っておられました。

そして大勢のお客様に囲まれた後の不穏を、すっとバックヤードに行ってアイマスクで眠ることでクリアにする術を使った慶二郎さん。

少し眠って、それから椅子に坐り直し。そのまま、よそを向いていた慶二郎さん。

ふと日記をとりだして、帰り支度をしてとなりに立ったわたしに聞いてくれました。

「名前はなんですか?」

”池内のりえと申します。”

「のりえは?」 文字を書きながら聞いてくれます。

”ひらがなです。”

”わたしは今度、慶二郎さんの絵のおはなしをさせていただきます。

おはなしの最後に歌を歌っていただけますか?”

「歌います!」

”ありがとうございます。うれしいです。では、きょうはこれでさようなら。またお会いします。”

ごあいさつをして去りかけるとすっと立って、大きな声で

「よろしくお願いします!」と話しかけてくれます。

はい、こちらこそよろしくおねがいします。(^-^)

振りかえると、一瞬だけお顔がこちらに。  そしてすぐに、もう慶二郎さんは一心にノートに向かいます。

慶二郎さんの世界、語らせて下さいね。うれしいです。






  
タグ :酒井慶二郎


Posted by のんたん  at 17:43思う声仕事

2015年07月03日

譜面のいらない世界を



なんかひさしぶりかも、と言い合ってのランチ。記憶をたどれば前回から2年にもなるというのに。

昨日も語り合ってたように、話始まる間柄。 ピアニストのnamiちゃん。

何度かお仕事もご一緒している。

小、中学校通しての同級生でもある。



こちらは、手話通訳士のみさちゃん。お札扇でおどけてポーズ。

お久~と言いながらなじみのバーで飲んだけど、ママに「雑誌の写真の撮影以来だよ二人が一緒は。」と話されて

あれ~~?じゃ4年ぶりジャン、と笑い合う。こちらも、さっきの続きみたいに会話が始まる。

彼女とも過去、いろんなお仕事でご一緒している。

かつてお互いの息子たちのリトルリーグでは保護者会仲間だった。

どちらもその道の第一線で飛び回っている人たち。

そして、対話が楽しいのは、彼女たちが、それぞれの世界で、「譜面」「台本」「あらかじめ」が要らない感性の持ち主だからだ。

乗せたスキルではない。しみ込んだ、というか身とすでに一体化しているスキルに、自身の感性が自由自在に映りこんで

その表現は彼女たちでしか表せない「オリジナル」なのだ。

話していると、蝶が舞うように、話が飛躍したり、浮遊したり。

また、その信念心情に、堅牢な城のように揺るがない構造が見えてきたり。

まことに面白く、嬉しく。そしてまぶしい。

年を経てくると、だんだん類友、というか、感性の似た人が友として残っていく。

会わない時間の長さに頓着なく、会えたときを楽しめ、お互いの力量を認め合って、いざというとき声をかけあえる。

幸せなことだ。感謝。








  


Posted by のんたん  at 23:39

2015年06月28日

名古屋旅

あいたいひとにあいにいく。

この週末もまたひとつ小さな旅を。

企画のご相談も兼ねて名古屋に。

迎えてくださった想念寺のご夫妻は、お釈迦様のような奥さまとその手のひらの孫悟空のようなご住職。



明治6年創業の老舗「井善」さんに。さすが、ほんとにおいしい。



なじみのすてきなお客さま方が絡んでくださり、ハイテンション。

少年のようなご住職のポーズにシャッターを押すのはやはり奥さま。

すてきだなぁ、こんな関係。



井善さんではさまざまな企画ものをもようされており。

地元の噺家さんの落語怪談噺も堪能させていただいてきました。



持ち込んだ企画も、よいおはなしにまとまりつつあります。

帰りには熱田神宮により。

教えていただいた「こころの小径」をめぐってお祈りさせていただいてきました。






ご住職のお仕事、想い、井善店主、村瀬さんの料理人としての熱い想い、聴かせていただき。

関わる方々との対話の中で。

身に余る光栄、たくさんの出会いをいただいて、帰ってきました。一気にお友達が増えました。

いただくものにみあえるよう、精進しなければ。 感謝、合掌。








  
タグ :井善想念寺


Posted by のんたん  at 16:05

2015年06月25日

よっ!待ってました、ゆうわ節♪



楽しみにしていた南インド舞踊家 横田ゆうわさんのリレーコラム。地元紙、市民タイムスに連載がスタート。

嬉しいなぁ。

わたしは、一番安価な、でもとことん地域密着な市民タイムス単紙しか取っていないので地元情報はこの新聞のみで知る。

音訳の録音当番のときは全紙を預かって読むので、ほ~~、へ~~と、いつも世間に対して浦島太郎状態なのだ。

そのぶん、日ごろは小さな記事が愛おしい。

半径2キロ暮らしの女の楽しみ。

最近ではその距離が伸びつつあるが。

同じ塩尻在住だが、わたしとは対極にある彼女。

インドと日本を行き来し、上田の大学に講師に飛んでいき安曇野で社会活動をし、県内、都心と舞踊活動をしている。

性格もほぼ対極。 よく友達でいてくれるものだ。

からだとこころは、つながっている。

それを教えてくれる彼女の動き、彼女の信念、彼女の覚悟。

年下なのに、学ぶことの多いこと。

彼女の文章は、はなしことばのよう。軽快に踊っていた。

これから何を書いていってくれるのだろう。たのしみがまたひとつ。




  


Posted by のんたん  at 00:13