2012年05月10日

50歳の5歳の記憶

幼いころの記憶で鮮明なものは、よほど鮮烈な出来事、印象が強かった事柄なのだろう。

50歳になる今の脳にくっきり残っている5歳の記憶。

幼稚園でお絵かきの時間。

青い空にぽっかり浮かぶ雲。
地面には、チューリップ。

雲と花に目線を合わせるように、笑顔を描いたわたしに

担任の先生は

「雲や花が笑いますか?笑わないでしょう?消しなさい。」と指導した。

言われるまま、雲の顔を白いクレヨンで

チューリップの顔を赤で塗りつぶした。

でも、いくら強くこすって上塗りしても、笑顔はうっすら目に残り。

夢中で描いていたその絵は、すっかり私のものでなくなり、続きを描かなかった。

その後学期末に持ち帰りに渡された絵の束の中から抜き、家で破いて捨てた。

几帳面な先生だった。

やさしかった。

好きだった。

だからそれ以来、雲にも花にも、顔を描かなかった。

芽生えた感性の一つを

好きな人の言葉で捨てた。

親でなくてよかった、と自分が親になって思った。

好きな人だったことには変わりはないけれど。



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Posted by のんたん  at 14:16 │日記

この記事へのコメント
「ロバのかきかた」という詩がありました。

http://thetruedeceiver.seesaa.net/archives/20120223-1.html

芽生えた感性は冷たく無視されたことでむしろ、
そのままの形ではなくとも、心の中に生き続けているのかもしれませんね。
Posted by とおりすがり at 2012年05月11日 01:10
とおりすがりさん

あなたからはときに瞬きを忘れるような世界を見せていただきますね。
自分の無知を知るのと同時に、未知のものに触れる喜びをいただきます。感謝。
他の詩も興味深く読ませていただきました。

たしかに。
心の中に生き続ける想いを、あの先生にいただいたのですね。。。
Posted by のんたんのんたん at 2012年05月11日 02:13