2015年08月08日
明るい声の中に聞く男50の想いに泣く

ほろ酔いで農道をぶらぶらと帰りながら、今夜の対話を思い出していた。
夫がなくなった年、わたしは地区役をしていた。
そのOB会があった。
「旦那さんの葬式の時の池内さんのあいさつで、俺、ぼろ泣きだったっすよ」 と話してくれた男性はことし、齢、50.
聞けばその翌年に、離婚し、家屋敷を家族に渡して単身、アパートに暮らしているという。
「娘とはよく会ってるんですわ。この間も何が食べたいって聞いたら、『ほんとになんでもいい?』って聞くんでもちろんっていったら。」
うん。
「それがさ、『家族で食べたあの、天丼が食べたい!』って言うんだ、これが。」
うんうん。
「それ、新潟っすよ新潟。 で、俺、娘乗せて、高速飛ばして行きましたよ、天丼食べに。」
そっか。。そうなんだ。
アパートに、家族と住んでいたころと同じ大きなテレビを買ったという。
でも段ボールに入ったまま開いていない、買ったはいいけど部屋、狭すぎて、と笑う。
明るくて饒舌でトップセールスマンの彼。
キャバクラのおねえちゃんたちの人気者でもある。
「キャバやめれば、もっと裕福なんですけどねぇ」 と皆の笑いを誘う。
ひとしきり、話題をさらって、折詰を持ち、車で迎えに来てくれた行きつけ店のママさんの車で
「じゃ!!ありがとうございました!また!」と楽しく退場。これからなじみと2次会でと消えて行った。
行きつけのどの店でも客として以上に愛されている様子がわかる。
見送って帰り路、ふと彼のなつっこい笑顔を思い出す。
「家族で食べたあの天丼」、で即座に「新潟」のその店、そのときのシーンが彼の中に浮かんだだろう想いを
勝手に共有して、泣けて。
幸せに、なっとくれよ~~!と、鼻をすすった。