2016年06月26日
月

お葬式に行きました。
知人のお母様のご葬儀でした。
最後のあいさつで。
喪主である、強い、強い彼の、一瞬だけ、嗚咽の混じった言葉尻。人々が息を飲んだのがわかりました。
なぜなら、彼は、お母様との関係を、とても冷めた物言いで語るのが常だったからです。
この「月」という楽曲は、桑田圭祐さんが、亡くなったお母様を想って作ったのではないかといわれている曲です。
「月」の歌詞はこちら
月は、女性。
(振り返る故郷(ばしょ)は遥か遠くなる)
( 柔らかな胸に抱かれてみたい )
この歌詞が浮かんだのは、葬儀会場の入り口に飾られた家族フォトを見た時でした。
両親が後ろ、幼い喪主の彼と兄君が前に立ち、
母の体は次男である彼の小さな背中をすっぽりと覆い、その両手は彼を抱きしめていました。
照れたような口をへの字にした彼の幼顔。モノクロの写真を眺めながら、わたしは頭の中でこの曲のイントロが流れたのです。
もちろんこの曲は、
「君と寝ました 他人のままで」という2番の歌詞から、男女の恋歌にも思えますが。
寝る、という行為を、添い寝と想い聴くと、すべての光景があたたかく、なつかしく、もどらない物悲しさを連れてきます。
そういえば彼は、美しく、遠い月を、飽くことなく、いつまでも眺める人です。
遠くから、ただ、黙って。
今宵はこの曲を捧げます。
合掌。