2010年09月19日

看とりの気持ち

若き友人のお父上が亡くなった。

簡素な直葬で見送った。

3年間、寝たきりでほとんど意識もなくベッドの上で過ごされていた。

彼は、「終わった」と淡々とつぶやいた。

喪中休暇を有効に使わせてもらうさとうそぶいた。

奥にある複雑な心を思う。

中学3年で母親が他界した後、飲んだくれる父親を見かねて高校を辞めその借金を返しながら働き支えてきた人。

お酒で体がぼろぼろになっての入院。

最後は、入院費を振り込むのみ、見舞いにも病院の呼び出し以外顔を出しに行かなかった。

父親らしいことなど、された覚えなし、まぁ俺も子どもらしいことはしなかったし。

ううん。

ずっと、あなたはお父さんを守ってきたじゃない。

あはは。きれいごとに考えてくれなくていいよ。ずっと・・死ねばいいと思っていた。

殴られた記憶しかねぇし。

ううん。

ううん。

そんなこと、・・・。

それ以上の言葉がつげない。

でも、彼は危篤に2晩立ち会った。看とりの時間をベッドサイドで過ごした。

火葬の煙を見送った。遺骨を抱いた。

じゅうぶん、親子だったと思う。




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Posted by のんたん  at 23:50 │日記

この記事へのコメント
親子ってなんだろう。

最初に出会う『社会』?
近くて遠い『他人』?

いろんな形があって
それぞれにいろんな意味があって
出会っている人と人の『繋がり』?


生前築く親子関係。
亡くなってから築く親子の関係。


今 両親の居ない私には、生前の喜怒哀楽の思い出、親子関係が思いだされ、一言では語れない葛藤、心模様、
考えればきりがないけど、
『この世に生んでくれてありがとう』って思います。
今 辛いことや嬉しい事を感じる『自分』を作ってくれて『ありがとう』って。

理想道理にはなかなかいかない。
お互い個性があるから?

理想に近づきたい。

悩む自分を作ってくれたこと

失敗も成功もある…『生身の人間』を実感できる瞬間に、
生んでくれた事へ感謝してます。


お父様を看取った『想い』
計り知れないです。

でも
私にはのんたんさんのお友達の親子…『素敵な親子』に思えてなりません。

お友達の正直な気持ちに『美しさ』を感じます。

きれいごとじゃない。

お父様のご冥福をお祈り致します。
Posted by nami at 2010年09月20日 00:18
namiさん

お疲れのところ、コメントありがとうございます。
彼のお母さまは、気鬱から自死を選ばれた方でした。自死遺族の悲しみや葛藤ははたからは測り知れません。
彼が今、自分の作った家族の中で育まれている愛情が反面教師であろうともご両親からつながっているということ、きっと心の奥で理解されているのではないかと思ったりします。
namiさんのご両親も早すぎる他界でしたね。おつらいことでしたでしょう。
今のあなたの感性や敏感さ、視線の豊かさを思うと、さまざまな想いと向き合って、それぞれを紡いでこられた結果であろうことを感じます。
今日は、あなたのステージに想いを馳せていました。
すてきなステージになったことでしょう。
行けなくてとても残念でした。
でも、その残念は、次の楽しみを待つという時間も与えてくれます。
いつか、聴きに行かせてください。
大好きなnamiさん。
もう一度、ありがとう。
Posted by のんたんのんたん at 2010年09月20日 01:27