2011年06月22日

弱っているときの敏感さ

汚れちゃった。気持ちが悪い。着替えさせてほしい。

ナースコールで人を呼ぶ。自分で着替えることができないもどかしさと心もとのなさ。

そういうときに受ける対応、表情の一つに患者は敏感だ。

パットをしているのだから1回分の汚れくらいまだ大丈夫、と忙しかった看護師は思ったのだろう。

顔に出る。まだ大ジョブなのに、といいたげに「そんなことで呼んだの?」的なぶっちょうずら。

でも失敗することに慣れていない患者はすぐ替えたい。

嫌な顔をされた、と感じただけで羞恥心と悲しみと、次に怒りがくる。

「もういい。かえなくていいから。帰っていい。」手を動かし始めた看護師に言い放つ。


そんなこんながあったらしく、その後来てくれた担当の心やさしい看護師さんに

「いつもあんたがきてくれたらいいのに。」「他の人が来ると疲れるんだ。」と弱音を吐いているところに

出くわした。ちょうど夕方、洗濯ものを抱えて病室に入ったらそんな風景。

同じ職業でも、ひとはそれぞれ。

数年前、初めて福祉課を訪れ、義母のちょっと面倒な条件での介護申請の相談に行ったとき

窓口で対応してくれた役職らしき男性職員は、冷たかった。

疲れ果てて気持ちが弱っていたからこその福祉課来訪だったので、悲しかった。そのときは断念した。

その1年後改めて福祉課を訪れたとき対応してくれた別の男性職員は親身だった。

光がさしたようだった。

今年になって数回、同じ福祉課の別部署(障がい担当)へ日常生活用品申請のことで問合せと相談を電話でした。

毎回電話に応対した職員は違ったが、若い人らしい声で、どの職員もやさしく、親身で丁寧だった。

「医療福祉」の現場は、「弱い」「弱っている」人が相手だ。

健康な人が、形だけでない親身、その人の不便さやつらさに心を添わせることは、難しいことかもしれない。

でも弱っているときは、親切にも、冷たさにも、敏感になる。

その敏感さが、ときに悲しみに、ときに怒りに変化する。

もし怒っている人がいたら、その後ろに、悲しみと絶望があることを感じる現場であってほしい。


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Posted by のんたん  at 23:57 │日記

この記事へのコメント
身に染み入る深いお話しでした。
そして、ズキンと心にささり、深く反省。。。
ありがとうございます。

のんたんのように、「弱っている」ことを知る
「強い人」になりたいです。。。
Posted by ゆうわ at 2011年06月25日 16:33
ゆうわさん

わたしも、弱っていることを知る強い人になりたいです。
こっちが傷ついててどうすんだよ、と自戒することも多く。
Posted by のんたんのんたん at 2011年06月26日 01:44