2011年10月20日

女房口説いてどうするの?

女房口説いてどうするの?という名台詞のコマーシャルが昔あった。

お酒のCMだったか。

夫に口説かれた覚えはない。

その昔、仕事が立てこみ、残業が続いた初冬時季。

その夜もへとへと腹ペコで、暗くさみしい小雨降るバス停でバスを待っていたら

道場稽古から帰宅途中、車で通りかかった同じ職場の別の課にいた夫に拾われ、

ひれかつ定食をおごってもらったのが慣れ染め。

食事中、自分の皿から一切れ黙って私の皿に入れてくれた夫に

「なんていい人なんだろう。」と感動した。

あとできいたら、濡れそぼって捨てられた猫みたいだったから拾った

で、一心不乱に食う姿に、腹いっぱい食わせてやらなきゃと思った、

ボランティア精神を刺激された、とほざかれた。

まぁ、確かに、男性と食事をしている、という緊張感より

冷え切った体でいたところに、あたたかい飯にありつけた喜びが勝っており。

女の子、をするのを忘れていたのは認める。

当時わたしは「はたち」そこそこの、がりがりな小娘で、夫は30手前のおっさんだった。

柔道をやっていたので首の太さと顔の幅が同じ、ポロシャツからはみ出た腕は、熊を連想させる

むくつけきおのこ。

そんな感じで結婚に至ったので、同僚達には「まさかのカップル」と後々まで語り草にされていた。

もちろん夫婦となってからも、甘い言葉も花束も、指輪も、記念日もいっさいスル―な人生。

その夫が、「恋しいからそばにおれ」とのたまうのだ。

別の部屋で片づけものをしていると、携帯が鳴る。

どした?なにほしい?と居間に戻ると

「用ではないが、ここにいろや。」という。

なした?とさらに問うと

「かあちゃんの顔が元気の薬だからそばにおれ。」と。

あらまぁ~。いつのまにイタリア人になったのよ、とチャかそうかと思ったが、

あらうれしや。では、あっちはまたこんどに、と居間に戻る。

そばにいてできる書きものに、仕事を切り替える。


あれから30年 (きみまろかっ!)

ようやく口説いていただきまして光栄です。


同じカテゴリー(介護)の記事画像
家族葬
ひろあきさん
春のころもがえ
後見人のお役目
ペコロスの母に会いに行く
施設の夏服
同じカテゴリー(介護)の記事
 家族葬 (2016-07-30 09:20)
 ひろあきさん (2015-07-23 00:01)
 春のころもがえ (2015-03-12 11:39)
 後見人のお役目 (2015-02-04 10:10)
 ペコロスの母に会いに行く (2014-09-07 11:07)
 施設の夏服 (2014-08-03 12:59)

Posted by のんたん  at 22:54 │介護

この記事へのコメント
あはは(笑) ご馳走様です。
いいじゃないですか、昔は恥ずかしくて言えなかった言葉も、今は感謝の気持ちを添えて言える。
そんな感じじゃないですか?

いっばい言ってもらいましょうよ!

親より女房と居る時間の方が多いんだから、心おきなく言っておかないと後悔しますよ!

と、我が亭主にも言わなくちゃ!(笑)
Posted by まみぃ at 2011年10月20日 23:06
のんたんさんご夫妻の馴れ初めをご披露いただき、ありがとうございます。
雨の日のバス停とヒレカツ定食・・・・・・
縁があったんでしょうね。

これ方も夫婦したいのなら、離婚しなさいと言われました。
離婚して恋人同志になりなさい。
夫婦は言葉掛けがなおざりになるけど、恋人だと言葉で必死に表現して思いを伝えるでしょう?????
だから、離婚して、恋人になりなさい、なんですって。
Posted by 84848484 at 2011年10月21日 00:50
まみぃさん

そうですねぇw
気の変わらないうちに
「もっとゆうて」
と、ねだっておこうと思います。
Posted by のんたんのんたん at 2011年10月21日 13:36
8484さん

縁が、あったのでしょうねぇ、そう思います。
恋人的な空気は作れそうもありませんが、
こうなってますます「同志」な気がします。
Posted by のんたんのんたん at 2011年10月21日 13:38