2011年11月06日

おばあちゃんの味に助けてもらう

夫がここ数年、ときたまおばあちゃんの味噌漬けを懐かしんでいた。

「汗が出るくらいしょっぱくてさ、発酵した味噌の匂いがぷんぷんするんだ。

おかずのないべんとうに、味噌漬けだけどっさり入ってて、恥ずかしくて急いでふたを閉めたこともあった。」

なんて笑っていたけれど、その恥ずかしかったはずの味噌漬けを懐かしがっていたのだ。

思い出とともに残る舌の記憶。

そんなこともあって、今年の夏に、まだ夫が病む前、

それまで漬けたこともなかった味噌漬けをする気になり

陰干ししたきゅうりを、農協で買った漬物用の赤味噌に漬けこんだ。

シンプルにお酒もみりんもダシもなし、ただ味噌のみで。

夏の間のばたばたですっかり忘れていたのだけれど、

ここのところ、まったく食が進まない夫になにか気が向く食材はないかと思案していたところ、

この味噌漬けを思い出した。

ふたを開けてみると、ほっておいたのに、湧きもせず、真っ茶色のいい子にきゅうりたちが漬かっている。

洗って薄切りにし、砂糖をまぶして冷蔵庫に。

甘味が回って水分が抜けたよい頃あいを見計らってお粥と一緒に出してみた。

「ん?ん~~・・この匂い。。。いや~、あの味噌漬けだ、え~?」と

一口。

「これだよ、これ、・・・懐かしい;」と、味噌漬けだけでお粥をお茶碗半分、飲むように食べられた。


よかった。

近い味にできてたのね。

育った食の味は原点。

そういえば、亡くなった父も、最期の数カ月、

子どもの頃父の母親が作ってくれていた「にんにく入りの味噌汁」を懐かしんで

もういっぺん、あれが飲みたいものだ、と言っていたっけ。

しばらくは、この味噌漬けに、助けてもらえそう。

ありがたい。




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Posted by のんたん  at 23:21 │介護