2015年09月10日

プロ技術を持ってボランティアをする意味

NHKの全国巡回セミナー。

塩尻会場の世話人をさせていただいています。

このセミナーは、NHKをご退職後、エグゼクティブアナウンサーとして日本語センターで指導をしておられる講師陣が

春と秋に、都心講座に出かけられない地域の朗読者に向けて、手分けをして全国を指導巡回してくださるものです。

今回の講師は、旧知のK先生。現役時代、NHK長野放送局では部長をしておられました。

講座の中や、ご一緒した昼食時の余談のなかでお聞きした話。

お立場を明言せず、地域のボランティアにも参加しておられ。

過日は、重度の心身重複障害の方々の余暇活動で、

受け入れ先の職員さんが、K先生がアナウンサーとも知らず「絵本の読み聞かせをお願いできますか?」と。

「はいはい」と引き受けたものの。

プロとして、幾多の現場で「読み」をなさってきた中でも、

視線も反応も来ない、その方たちに本を読みながら。

普段、「聴き手に伝わる読みを」と指導する自分が、伝わっているかわからない立場で本を読むことに愕然とし、

迷いに迷ったと述懐。

そして職員の方に、

「伝わったのでしょうか。楽しんでくださったのかしらん。」と心配になり問いかけると。

ことば、わからなくても。

聴こえる声のぬくもり、リズム、高低、緩急、それを楽しんでいるのです。

とても、ええ、とても。楽しんでいたのが、わたしたちには、しっかりわかりました。ありがとうございました。

との返答に。

大きな衝撃と、認識がなかった自分に・・・とお話しされながら言葉が詰まり、一瞬の涙がありました。

そして、もっともっと、伝わる読みを、していきたいとお話になっておられました。

プロがプロとして必要とされる場所で仕事をする。

その中では体験できない「現場の現実」を、K先生はボランティアという活動の場所で受け取り、

極めたお立場の先を、研さんしておられる。

雲の上にいる方への共感は、大きな親近感となり。

確かな技術を持ってこそ、その技術でボランティアをしていきたいと改めて思った日でした。














同じカテゴリー(思う)の記事画像
読み聞かせと読み語り
今年からのハロウィーンについて
ハッピーハロウィーンの発音
必ず願いがかなう不思議なリスト
月
おとにはたてじ こいはしぬとも
同じカテゴリー(思う)の記事
 読み聞かせと読み語り (2019-12-21 01:26)
 即位礼正殿の儀に想う (2019-10-21 14:43)
 今年からのハロウィーンについて (2019-10-03 08:22)
 選挙に想う (2019-04-06 08:48)
 やるべきをなす (2019-01-20 17:57)
 豆腐のまるゐの鶏から揚げ (2018-12-16 16:54)

Posted by のんたん  at 20:50 │思う声仕事朗読ボランティア養成講座