2010年10月18日

幸福な熱の記憶

好きな作家に「田川未明」さんという人がいる。

彼女の書く小説やエッセイには、色や香りがある。

「幸福な熱の記憶」という小作品があって。

熱があって学校休んだ日に、お母さんが作ってくれるお昼ごはんの話を描いている。

とても好きな作品だ。

熱が出た時だけの特別なメニュー。

夫は、「桃缶」だったという。

わたしは。。。あんまり記憶がない。

よく熱を出した下息子は、いつも野菜みじん切りにしてことこと煮込んだとろとろスープだった。

熱があって食欲がない、でも薬を飲まなきゃいけないから、何かおなかに、というとき

あのスープだけは息子の喉を通った。

熱でふーふーいっている息子に

「何か食べてみる?」と聞くと

「ことこと野菜スープ」と答える。

息子が熱に浮かされている状況だったのに不謹慎だが

母親のわたしにとっても「幸福な熱の記憶」となっている。

未明さんの作品の中の特別なメニューは、バターつきパンとミルク紅茶。

ミルクティーではなく、ミルク紅茶、なのだ。バタートーストではなくバターつきパンなのだ。

この作品を読むと、ふわっと自分の幸福な時間がよみがえり、あたたかくなる。

今夜もまた息子は熱を出している。

紅茶が飲みたいけど、カフェインで眠れなくなるかなぁというので

ロイヤルミルクティをつくって出した。

あ。これ、ミルク紅茶、、だ。と、思い付いた瞬間、

体を、あの「幸福な熱の記憶」の文章が包み込み、わたしを幸せにしてくれた。

***************


23日の朗読会では、この田川未明さんの別の作品も読ませていただきます。

未明ワールドの香りと色と温度を、味わっていただければと思います。


<おとなの朗読会詳細>

10月23日(土)午後3時~

塩尻市市民交流センターえんぱーく3階 多目的ホール

優しいピアノの音色と、朗読、イメージ画像で物語を紡ぎます。



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Posted by のんたん  at 22:58 │思う

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数日前から予感はあった。耳の奥で時折ぷつんと音がするし、一昨日は前歯が浮いて、昨日は右の糸切り歯がうずうず浮いて、今日は朝から奥歯が浮いていた。

気圧が蠢いている。

...
声に出して読む【トルニタリナイコト@田川ミメイ】at 2011年02月26日 03:48

この記事へのコメント
こんな所で、みめーねーちゃんの話題が……。

みめーねーちゃんは、なにげない日常を語ってたりする時が一番凄いですね。

私は作家としてのおねーちゃまも好きですが、それ以上に写真家としてのおねーちゃまも大好きです。

刺さるセンス、持ってますよねぇ。

つぅか、のーたんの読むのも聞いてみたいです!
是非、録音して下さいませ☆
Posted by 九条かえで子 at 2010年10月19日 19:54
九条ちゃん

コメントありがとうです。
今回は未明さんにお願いして画像もお借りしちゃいました♪
今、親友のシャンソン歌手クミコさんの祈りコンサートにかかわっていらしてとてもお忙しい中ご返事をくださいました。
彼女の世界を香りを損なうことなくお伝えできたら嬉しいです。
録音してもらえるかどうか打診はしていますが、かなうかどうかは。

で。
のーたん、ではなく、のんたんです。

のーた(り)ん、に読めてしまうので、「ん」でお願いします。(--)
Posted by のんたん at 2010年10月19日 22:08